こばと。 第23話「…こばとの願い。」

「わたし、藤本さんのそばにいられて、とても幸せでした」

小鳩の本当の願い。それは最後まで大切な人のそばにいること。同情でも好奇心でもなく、ただ大切な人を思う気持ち。自分自身の存在を賭けてまで通そうとした小鳩の思いが美しすぎて・・・ひどく残酷なものに思えるのです。

他人のことを思う気持ちが最終的に行き着く先としての自己犠牲。ただ、小鳩にとってはその思いこそが自分の存在意義であり、「犠牲」などとは全く思っていないのでしょう。そんな小鳩の純粋さが俺には痛い。

あんな男のことなんて放っておいていい、藤本なんてどうなったっていいから小鳩ちゃんが無事でいて欲しい・・・と思う俺の気持ちは、小鳩の本意ではないんだよな。

この作品の根底に流れていた圧倒的な悲劇。その全てを知りながら、ただ「ありふれた日常」を送ることを選んだ小鳩。それはとても美しく、とても残酷な物語でした。