sola 第09話「ヤクソクノハテ」

幼い日の約束、そのひとつの結末。

辻堂が茉莉を追っている理由、そして繭子との絆。「敏感な風景」の歌をバックに描かれる、幼い日の約束を守りつづける辻堂さん。ノスタルジックでセンチメンタルなオブラートに包みながらも、時間の経過は二人の決定的な違いを残酷なまでに突きつける。成長した辻堂さんが二人の時間の重さを象徴していて、それでも変わらずに繭子を思いつづける姿は涙なしには見られませんでした。

「私の願いは、ただそばにいて欲しいだけ」
「昔と変わらない、優しい剛史のままで」

一緒にいたいだけならもっと早く言えば・・・と最初はそう思ったのですが、早く言えるなら当然言ってるはず。そもそも二人で当てのない旅をしている時点で「元に戻りたい」という願いは二人の共通認識だったのでしょう。

「俺が・・・俺が必ずお前を元の世界へ連れ戻してやる」

しかし、「繭子が望んだ世界=剛史のいる世界」と考えれば、辻堂が変わってしまった世界は彼女の戻るべき世界ではないのです。そういう意味で、繭子の真の願いは「人間に戻ること」ではなかった。もう少し考えていくと、望まぬ生を受けた繭子にとって、そもそも生きる望みそのものがなかったのではないか・・・とも思ってしまいます。繭子を主人公として考えると「剛史にそばにいて欲しい」というのは仮初めの安楽に過ぎないのではないでしょうか。
今後の二人のストーリーはまた別のお話になっていくのでしょうが、茉莉をメインとした物語を考えれば、二人の姿は夜禍と人間とが共に生きることを選んだ結末のひとつ。夜禍と生きるということは、日常だけでなく人生そのものが変わってしまうということ。辻堂と繭子の姿は、茉莉に関わろうとした依人の未来のひとつの形。依人に別の未来、つまり「茉利を空の下へ連れ出す」結末が存在するとしたら、それはどういう形で実現するのでしょうね。


mellow melody

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