ソ・ラ・ノ・ヲ・ト 総感

やはり印象的だったのは初回のエピソード。今思えば、このお話が本作品の感想の全てだったなあ・・・。

スペインの都市をベースに作りこまれたセーズの街並み、炎の乙女伝説、キリスト教八百万の神が同居する和洋折衷。そんな「終わってしまった世界の残滓」の中で生きる少女たち。それぞれがトラウマを抱えながら集まった、1121小隊という仮初めの安息。そしていやおう無しに「兵隊」として戦場に立つことを強制される。少女たちの抱える背景を掘り下げつつ、「音」というキーワードで全てが繋がっていく・・・。

設定やプロットだけを見ると、すごく魅力的なお話に思えるんですよね。でも蓋を開けてみると、ただあらすじだけを延々と見せられたように思えてしまって「ふーんそうですか」以上の感想が最後まで持てませんでした。もちろん、各エピソードの行間を補完してみたり、キャラクターの背景に思いを馳せたりすることで世界を広げることもできたとは思います。しかし、そういう気持ちになれるほどには感情移入させてくれなかったのが残念。設定や謎というのはドラマを盛り上げるための手段だと思うんだけど、この作品は逆に設定や謎を見せるためにドラマをでっち上げたような逆転現象があったように思えてなりません。作中の言葉を借りれば「無理やり音を作ろうとして」いたという印象でした。

5話の遠足とか、8話のお漏らしとか、設定だけでなくキャラクターの魅力で話を動かしていくエピソードはすごく楽しかったので、日常エピソードを混ぜつつ1年くらい時間をかけてじっくり育てていけば、名作になったのかもなあ。そういう意味ではもったいない作品でした。

追記

忘れてた。本作品の中で唯一の収穫と言ってもいい金元寿子。新人らしいキレイな声と初々しい演技がよかったなあ。これからどういう風に独自の個性を見せてくれるのか、今後が楽しみです。