祝福のカンパネラ 第13話 総感

エロゲー原作アニメにおいて、12話という短い時間にどういうエピソードを割り振るか、というのは究極の命題なのでしょう。数多いキャラクターに、膨大な設定、その全てを12話で見せようというのはどう考えても無理な話。では何を見せるのか?と考えたときに、このアニメはひとつの局所最適解になるのかもしれません。

ミネットの話を軸にしつつ、1話ずつキャラクターのお当番回を用意する。そして最後に、それぞれの思いとミネットの思いが集まってひとつになる。最終回の感想でも書きましたが、「誰かが犠牲にならないといけない方法なんて、全然ベストだなんて思えません!」というミネットの台詞を作品としてのゴールと考えて、それぞれの思いをミネットなりの解釈としてまとめ上げていく構成。10話でのシェリーさんの台詞が象徴的で、このシーンが今までのお当番回を「ミネット」というフィルターを通してひとつの「思い」に変えていったターニングポイント。バラバラだったお話がミネットを軸として繋がった瞬間でした。

キャラクターの思いをミネットの視点としてまとめ、そこからミネット自身の本当の思いに辿り着く。そうした感情の動きにブレがないので、かなり無茶なストーリー展開も受け入れてしまえたのでしょう。正直に言うと、全体的な構成としては決してよかったとは言えなくて、ぶっ飛んでご都合主義に終わる話だったかもしれません。個々のキャラクターに対しても、背景的な部分の掘り下げは全くと言っていいほどできませんでした。しかし、12話という短い時間の中で、変に欲を出した唐突なシリアスストーリーを見せられるくらいなら、他のキャラクターをバッサリ切ってミネットに注力した本作品の方針を俺は支持したいです。


・・・うーん、なんか重いまとめになってしまったな。もう少し軽い話もしたい。

色々と言い訳がましい擁護文を書いてきましたが、この作品に対する感想は「女の子がかわいくて幸せ」に尽きるのかも。原作の絵がすごく好きなので、その雰囲気をアニメの作画で再現してくれただけでも嬉しすぎる。エロゲーっぽい明るめのパステルカラーの女の子が、アニメで動いて声まで付いてるんだもんね。ミリアムやアヴリルみたいな、ベタベタのエロゲーキャラがアニメで動くって意外と珍しいかも。たいていはアニメ化に伴ってアニメ絵になっちゃうからなあ・・・。

淡い色使いでかわいい絵柄の原作の雰囲気を見事にアニメで再現してくれた作画、序盤のぬるくて幸せな雰囲気。表面的なかわいさに過ぎないのかもしれませんが、作品の世界観としての魅力は伝わってきましたし、個人的にはすごく好きな世界でした。むしろ後編のシリアスストーリーは無くていいから、ずっとぬるい日常を描いてくれるだけでも十分楽しかったですよ。

そしてやっぱりサルサ&リトスのトルティア姉妹でしょう!この子らが俺は好きすぎる!本編のお色気とお笑いを一身に背負いつつ、8話みたいなちょっといい話も見せつつ。アニメスタッフの全力を注いだような8話は本当に素晴らしかったです。

祝祭のカンパネラ! 初回限定版

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そもそものキャパシティがあるので決して話題作にはなれない作品なのですが、少なくとも視聴前に期待していたモノには満点以上で応えてくれた作品だったと思います。こういう地味な佳作に俺は弱い。