かなめも 総感

キャラデザはカワイイ、作画は丁寧、OPとEDも素晴らしい。キャスティングも豊崎愛生釘宮理恵堀江由衣水原薫などツボを押さえつつバラエティに富んでて、どう考えても面白くなる作品だったはずなんだよなあ。

これだけキャッチーな素材を揃えておきながら、肝心のお話が全く不可解で、キャラクターの心理状態を無視して勝手なテーマを押し付けられているように感じられてなりませんでした。2話時点での違和感は、最後まで解消されることはなかったなあ・・・。

特にそれが顕著だったのは12話。このエピソードは、かなの状況は「孤独な別れ」ではなく「新しい旅立ち」だというパラダイムシフトがテーマになっていると思うのですが、それってここでやることじゃないでしょ?この時点でかなが感じているのは、集団の中での孤立であり、風新新聞に馴染めない自分に対する疎外感なんだから。

であれば、かなを励ますのはマリモ姉さんじゃなくて美華でなければいけない。何も役に立たないかなが要らない存在というのなら、落ちぶれて全てを失った美華も要らない人間なのか・・・?と。もちろん、そんなはずないよね。

マリモ姉さんのアレが有効になるとすれば、1話の直後(祖母との死別)または近い将来訪れるであろう風新新聞との別れのタイミング。それを、あんなヘンなタイミングで出しちゃうから意味が分からなくなる。

どうやらマリモ姉さんはアニメオリジナルらしいのですが、無理に「風新新聞の卒業」みたいなテーマをねじ込もうとして話が余計メチャクチャになってしまったのかもしれませんね。

個別のキャラクターについては、6人しかいない風新新聞のうち、ひなた・ゆめ・ゆうきの3人・・・つまり、半分も空気化してたのはさすがにダメでしょ・・・。人気の出そうなキャラクターにもかかわらず、美華の出番が少なかったのも残念。

4話のミュージカルとか、5話の銭湯とかも、もう少しキャラクターが固まってくれば楽しめたんだろうけど。そういうバカ話自体は嫌いじゃないので、やるならちゃんとやって欲しかったなあ。


ただ、悪夢のような12話を終えて迎えた最終回は憑き物が落ちたように面白くて、本作のポテンシャルの高さを最後の最後で思い知らされました。もしも最初からこうだったら・・・と思うと残念でたまりません。

文句を言いながら最後まで切らずに見続けたのは、もしかしたらこのポテンシャルを無意識に感じていたからなのかも。・・・まあ、代理が超カワイイから見続けたっていうのが実際のところだろうけど(笑)