喰霊-零- 総感

面白かった!まずは、この作品を作ってくれたスタッフの皆様に感謝したいです。

思い返してみれば、1話も2話も全滅エンドという、ものすごい引きで始まった作品。これはもうイロモノなのかな?と思い始めた第3話が自分の中でのターニングポイントでした。アニメのお約束を生かしつつも、キャラクターの感情を丁寧に追っていく構成。色味を押さえた繊細な作画。そして、水原薫のピュアさを感じさせる演技。一気に話に引き込まれたのを覚えています。

ラストシーンが決まっているだけに、ハッピーエンドになり得ないことは知っていながらも、それでも最後まで見続けたのは黄泉というキャラクターがいたから。本編を通してさまざまな角度から描かれる黄泉の内面、愛情と憎しみ。人間が誰しも持っている矛盾した感情を抉り出すようなエピソードに胸を痛めつつも、どこか心に響くものがありました。

愛情が強ければ強いほど、反転した憎しみも強くなる。そして、人の感情というのはいとも容易に反転してしまう。そんな両極端の感情を、黄泉という子を通して見せてくれたように思えます。鏡合わせの愛情と憎しみを描き出すというだけでなく、その先にある本当の思いにまで掘り下げて行った最終回には、思わず涙腺が緩んでしまいました。

一人の女の子の感情を、ここまで描ききった作品が他にどれほどあるだろう。そう思わせてくれる、素晴らしい作品でした。