CANAAN 総感

共感覚」という特殊能力を駆使し、上海の町を駆け巡るアクションシーンに惹かれた第1話。そんなアクションシーンの中で、マリアとの友情、アルファルドとの因縁を軸にしながら複雑な人間関係やドラマが錯綜し・・・。

というコンセプトは分かるし、各話のエピソードに関してもそれなりに質は高かった。でもなあ・・・1クール作品なのにキャラクターは多すぎ、ドラマは掘り下げ不足、何よりヒロインの大沢マリアとライバルのアルファルドに全く魅力を感じられなかったというのは痛すぎる。

特にマリアはなー。全員と絡む機会があって、カナンの最大の理解者にしてメタ的には最強の傍観者たりうる存在のはずが、こんなに空っぽなキャラクターだったとは。この子が中心として存在感を発揮していたのなら、バラバラに見えるドラマも一本筋が通った話になったかもしれないのに。

キャラクター個別のエピソードとしては光る回がたくさんあって、特に5話を含めたユンユンのエピソードはどれも素晴らしい。キャラクターとして一番魅力的だったのはこの子だと思いますよ。戸松遥が生き生きしてたのも個人的には驚き。最近では、与えられた役を小器用にこなすだけのイメージがあったので、こんなに遊びのある演技がアニメで見られたことは嬉しかったですね。

あとは、ユンユンとは違った意味でリャン様の狂気もすごかった。作画の勢いと、田中理恵の演技が重なって、これだけでも十分楽しめました。カミングズの歪んだ愛情もドラマを盛り上げてたなー。最後は何故か出家してたけど(笑)

P.A. worksの新作ということで期待してたし、実際頑張ってたと思うんだけど、何となく空回りしてしまっていた部分が多かったかな。キャラクター個別の話としては魅力的なエピソードもたくさんあって、序盤のガンアクションも楽しくて、普通の1クールアニメとしては十分「当たり」と言っていいんだけど・・・。それだけに、惜しい作品でもありました。

true tearsのラブコメ路線に対する、今作のハードボイルド路線と考えると、実験的な意味合いもあったのかな?このスタッフの作る次回作に期待したいですね。