百花繚乱 サムライガールズ 総感

さてさて。

戦国武将の名を借りた美少女たちが大集合してバトル!というイロモノオーラ全開の本作品。

「キスをしてパワーアップ」という設定や、近未来の生徒会という捻りのある世界観、マスターサムライの超能力バトルと、見どころたくさん・・・だったのですが、それだけに未消化な設定が多すぎたのは残念。

お話の方も、なんかよく分からないけど黒い影らしい天草四郎よりも、マッドサイエンティストの慶彦の方がキャラが立ってしまっていて、ラスボスの緊迫感が薄れてしまったのはもったいなかったかな。慶彦を倒した後に戦う最後の敵が義仙っていうのは、さすがに小物すぎるような・・・。色々とネタは散りばめたけど、散りばめすぎて結局何をやりたかったのかが見えてこなかったという印象でした。

不満はこのくらいにして。何だかんだと不満はありますが、実は思っていた以上に面白かったです。あれだけイロモノ全開の設定で、どう考えても1クールじゃ終わらないだろっていうキャラクターと伏線の多さで、よくもまあここまで将とサムライの絆を描き切ったなあ・・・と妙な関心の仕方をしてしまったり。

幸村、千、十兵衛の宗朗に対する思いや、お互い反発しつつ信頼している微妙な関係。この3人の掛け合いがすごく楽しかったです。同年代の悠木碧寿美菜子の若さ溢れる演技、そしてそれを支える釘宮理恵はもはやベテランの域だよね・・・。このバランスが素晴らしい。

ちょっと気持ち悪いこと言うよ。ラジオを聞いてるとたまに思うんだけど、走りすぎの悠木碧の演技と、熟する前の青い果実のような寿美菜子の演技って、そのまま混ぜても分離しちゃう感じがするんだよね。そこに釘宮理恵が加わることで、2人の演技がきれいに混ざって気持ちいい化学反応を起こすというか・・・。釘宮さんは歳離れすぎでは?などと失礼なことを思っていた自分は未熟者でした。

話を戻して。将とサムライの絆もそうだけど、幸村や千を慕う又兵衛と半蔵の思いがちゃんと描かれていたのもよかったですね。そういったキャラクター同士の絆が見えるエピソードはすごくいい話が多くて、油断して見てると思わず涙腺が緩んでしまうこともしばしば。10話から11話の、ニアの話も好きだったなあ。

忘れちゃいけないのが、本作品で唯一と言っていい、特に誰との絆も持たない直江兼続さん。ギャグキャラ的に扱われてしまっていたけど、それだけオイシイキャラってことですよね。この子、大好きだったなあ。もっと出番があればいいのに。豊崎愛生のテンション高い演技も楽しかったです。実は、今シーズンの豊崎愛生は自分の中でプチブレイクスルーがあって、本作品はそのひとつだったりします。

うーん、あまり書くことないかな?と思いきや、書き始めると結構長くなってしまった。膨大な設定が消化不良になってしまったのは残念だけど、キャラクターがちゃんと生きてる作品だったのは嬉しかったです。もう少しこう、キャラクターの内面を掘り下げるようなエピソードも見てみたかったですね。何にしても、1クールの間楽しませていただきました。