天地無用! 真夏のイヴ

「in LOVE」とは一転して派手な作り。ドタバタの中にハートフルさがあって、要所要所で感動させて・・・。劇場版にふさわしい豪華な出来でございました。俺は基本的にエンターテインメントが好きだから、作品としてはこっちの方がお気に入り。「天地」としては「in LOVE」の方が正統に近いのでしょうが・・・。
お話としては、いわゆる長谷川版天地のサイドストーリー。天地の娘と名乗る麻由華がやってきて、その小悪魔的な魅力で柾木家を振り回して・・・という王道の落ちモノ。天地自体が落ちモノなのに、さらに女の子を空から落としてくるところはさすがというか。
実質1時間強という短い話の中で、麻由華が柾木家の一員として「家族」になる過程や、魎呼と阿重霞の天地に対する思い、そして裏テーマである由厨葉の孤独と淡い恋心を存分に見せてくれました。家族ネタにはほんと弱いので、「あなたはわたくしたちの家族になるの。そして一緒にクリスマスを祝うのよ」という阿重霞さんの台詞にはちょっと涙腺が緩みかけましたよ。コントロールを奪われた麻由華の目を覚ませたのが、一番仲のよかった砂沙美の言葉だったのも感動でした。
最終的には、光と闇は相容れないもの・・・という悲しい結末ではあるのですが、麻由華の転生と言う形で魂の救済を図ることで、ある程度の救いになったのかな。麻由華が空から落とされても平気だったのは、力が覚醒(?)したからと思いきや魎呼が助けてたというのもうまいミスリードだよなあ。まさかラストの伏線になってるとは・・・。

「どうする?みんなの言う通りにするわよ」
「一人でも望まなければ、あたしはやらない」

ラストシーンの鷲羽の台詞と、それを受けたみんなの表情こそがこの作品の集大成だったのかもしれません。それは、家族ごっこが本当の家族になった瞬間でした。