うみものがたり〜あなたがいてくれたコト〜 総感

いやー終わった。思えば色々あったなあ・・・。

初回は沖縄を舞台に繰り広げるゆるい日常ドラマの風情だったのが、2話で変身美少女モノになって、5話からは人の心の光と闇に迫るお話に・・・と、二転三転する物語には若干戸惑いました。

ただ、「光」の象徴である前半のゆるい展開、「闇」の象徴である日食時のエピソード、そして「巫女」の存在。全てが最終回へ向けたミスリードだったんですよね。物語設定を語るはずのカメがミスリードしてたなんて、一体誰が想像しただろうか・・・。

マリンと夏音の対比は、光と闇ということじゃない。思ったことをストレートに表現できるマリンと、思ったことを中に溜めてしまう夏音の対比。そして、巫女への変身。巫女の力は光の心に反応したんじゃない、誰かを思う強い気持ちに反応していたにすぎない。マリンが変身できなかったのは、初めての闇の心に捕らわれて、ウリンへの思いが揺らいでしまったから。

「光の心を開放し尽くせば、おまえ自身も光の泡沫となり、消え去る」
「あたしが、消えちゃう・・・」
「・・・それでも・・・いい」
「声が届かなくても、笑顔が見れなくても、二度と会えなくても、それでも・・・」

ウリンのこの台詞は「自分を犠牲にしてもマリンが助かればいい」という心。それは、言い換えれば「光の心」。しかし、闇の心だけで救われる人がいないように、光の心だけで救われる人もいなかった。セドナの心が押し込められた悲しみであったなら、ウリンの行動は単に逆の心、押し込めらられた光の心をぶつけてバランスを取っているだけ。だからこそ、その先にある本当の思いを開放することで、セドナの悲しみもまた開放することができたのです。

最終的なテーマが「心の開放」だとするならば、初回と最終回の夏音がキレイに繋がります。適当なように見えて、しっかり計算されたんだなあ・・・。そして、開放された心はどこへ行くの?という問いに対しては、奄美の空と海に還っていくという答えが用意されてる。

全ての思いは空と海へ・・・夏音とマリンへと還っていく。そんなお話でした。


閑話休題

む、まとめっていうか・・・感想の続きではないか!

ということで、改めて作品全体を振り返って。奄美が舞台ということで、島の自然がある種のファンタジーとして描かれる作品世界は結構好きでした。謎の唄者も、作品のファンタジー感を盛り上げてくれましたね。

繊細な作画で、沖縄という土地で、二人の少女の日常を描くだけでも十分楽しい作品になったと思います。佐藤順一監督ということで、その辺を期待していた人が多かったんじゃないでしょうか?それでも敢えて後半の暗い展開に進めるというのは賛否両論あるでしょうが、個人的にはそれだけの冒険をした甲斐のあるお話になったと思います。

あとは音楽もよかったね。単体で派手さはないけど、沖縄の神秘性というか、作品全体を包み込むような雰囲気が好きでした。黒化したウリンのシーンなんかでは一部そぐわない選曲もあったような気はしたけれど・・・それもまた新鮮でよし、ということで。

声的には・・・やっぱり寿美菜子ですか。慣れない沖縄弁が大変そうだなあ・・・などと思いつつ、最後までお疲れ様でした。今年に入って色々と名前のあるキャラクターを演じるようになってるけど、夏音が一番好きかな。意外と特徴ある声で、前半に結構あった夏音ちゃんが切れる演技が好きだったので、ハイテンションなキャラクターを今後見てみたいかも。今までは割と無口キャラとかおとなしいキャラが多いイメージなので*1

阿澄佳奈は・・・あんまり悪いこと言いたくないのでノーコメントじゃダメですか?(笑)ただ、ラジオ要員じゃない、役者としての阿澄佳奈を久々に見れたなーとは思いました。まあ・・・結果的にラジオ要員にはなっているのですが・・・。本人がラジオ声優で満足してるならそれでいいし、役者としての阿澄佳奈には大して興味がないのも正直なところなんだけど、それでいいのかなあ・・・とも思うんだよね。ラジオ声優にすらなれない人がたくさんいることを考えれば、まだ恵まれてるとも言えるんだけど・・・。

で、堀江由衣。なんか最近はベテランの風格すら漂わせる。主役よりも脇役に回ることが多くなった昨今ですが、スタチャアニメの主役をバンバン取ってた当時よりも、ずっと存在感があるのは何故なんだろう・・・。

おっと、ついでに書いたつもりの声優ネタがこんなに長々と。結論としては、いいアニメだったという感想でした。スタッフの皆様ありがとうございました。

*1:台詞の多い役はあげられない、というのも大きいのでしょうが