LEMON ANGEL PROJECT 第04話「Smile means love」

智、早夜と続いて、エリカのお当番回。また今回も古式ゆかしい物語を展開してくれるのかな・・・と半ばネタにする気で見ていたのですが、ラストまで見てみれば何故か半泣きの自分が。エリカの内面を引き出しつつ、アイドルを目指すという物語のメインテーマを再確認させるという、すばらしいエピソードでした。

おそらくその名前のせいだと思われますが、ブラジルでは外国人として扱われていたエリカ。そんなエリカは自分の居場所を探しに、母の生まれた日本までやってくるわけなのですが・・・。そこで待っていたのはやはり外国人として扱われる生活でした。

ブラジルでも日本でも居場所を見つけられないエリカにとって、唯一にして最大の理解者であり同胞でもあったはずのタクミまでもがアイドルの世界へ自分の居場所を見つけ出す。とうとう独りぼっちになってしまったエリカが最後に求めた居場所は、タクミと同じくアイドルの世界だった・・・。

今回はそんなあらすじ。これだけ聞くと、やっぱりよくあるアイドルモノのエピソードに過ぎないんだけど、この話の持っていき方が実にすごい。春香や他のメンバーたちから、エリカの才能を「外国人だから」で切り捨てるところの悲しい表情、弁当を「いや、あたしはいいや」と断る早夜に対して「え・・・口に、合わないですか」という拒絶への恐れを着々と積み重ねておいて、春香の

「毒とは言わないけど、下剤くらいマジ混ぜてんじゃないの?なんたって、アンタ日本人じゃないんだから!」

で最大のカタルシスを迎えるわけです!ここまで丁寧に準備してくれたら、エリカに感情移入しないわけにはいかないでしょう!もうエリカがかわいそうでかわいそうで。

で、普通なら智の「私たちはエリカ自身と友達になりたいんだよ」みたいな陳腐な台詞で大団円になるところですが、ここで早夜の台詞が光ります。

「こんな潰しあいで勝ち残れると思っているなら、アンタ知らなすぎるわ・・・上を」

「みんな自分を賭けてんの!あるもの全部ぶちまけて生き残ろうとしてんの!その覚悟が根っこにあるから仲間でいられるの!」

これは前回で早夜のLEMON ANGELへの思いを分かっているからこそ響く台詞なわけで。自分達は仲良しクラブをやるために集まったわけじゃない。だから、エリカが本当に自分達と仲間になりたいと思っているのなら、自分達が目指す高みにまで上って来いと。それはすなわち「自分の居場所は自分で掴み取れ」ということなわけです。

結局のところ、外国人であることを一番気にしていたのは周りではなくエリカ自身だったということなんでしょう。周りが変わるのではなくエリカ自身が変わることで、彼女も自分の居場所を見つけていけるのかもしれません。ただの絆を深めるエピソードとしてではなく、「LEMON ANGELを目指す」という物語の大きなテーマへとつなげてくるという、一段階上のエピソードとして見事に構成してくれました。こんな3人をまとめる智のバカっぷりもいい感じですね。

「仲良しでもライバル」というのは少女物において永遠に解けない命題であるのですが、まさかこのアニメで答えの1つを見せてもらえるとは思わなかった。LEMON ANGELを目指す動機は参加者の数だけあるのだろうけど、自分の居場所を見つけるためというのも十分立派な動機だと思います。ようやく見つけた自分の居場所、その先にLEMON ANGELがあるというのなら、他の受験生に負けないくらいの気持ちを持って臨まなければいけないわけで。逆説的だけど、自分の居場所を見つけるために戦う、というのはすごいなあと思いました。

今回忘れちゃいけないのは春香さん。正直絵に描いたような悪役ではあるんだけど、ムカツクのもまた事実。この子が悪いからこそエリカが引き立つんですよね。少女アニメにおいて悪役がどれほど大切かは、最近すっかり3バカになってしまったアルテッサの惨状を見ていただければ十分かと思います。

  • サーヤ様って!
  • でもさあ、今どき仲良しクラブって!・・・いや、感動したからいいんだけど。