きらりん☆レボリューション 第111話「お悩みです こべにちゃんのユウウツ」

おお、こべににこんなお当番回が用意されているとは!すばらしい。

「アイドル、がんばるから」
「だから、引越ししない。もう」

自分はアイドルに向いてないのではないか、と悩むこべに。自ら志願したきらりと違って、どちらかと言うとスカウトされた形でアイドル入りしたこべににとって、その悩みは至極当然のことでしょう。きらりとは対照的なこべにの悩みと、仲間の絆、そしてこべにがこの地に足を着いて生きていく決心を象徴する引越しの荷物。いつものきら☆レボとは少し違った構成で、新鮮な気持ちで楽しませていただきました。
さて。こべにがアイドルになった理由、今回は「人を幸せにする」と言われていましたが、もう少し踏み込んでみると「人を幸せにすることによって自分が幸せになる」というところにあると思うのですよね。
引越しを重ねたことから、友達との絆が希薄になることを極端に恐れるこべに。アイドルとして自分の思いを伝えつづけることで、その絆を支えて行きたいというのが本来の目的のはず。もちろんその過程に「人を幸せにすること」は前提としてあるわけですが、その向こうにあるのは「幸せな人と自分との絆」なのです。
今回のエピソードでは、単に自分のアイドルとしての実力のなさに落ち込んでいるのではなく、実力がないことによって他の二人と距離ができてしまうのではないか、せっかく仲良くなったミルキーウェイの絆が途切れてしまうのではないか、そんな不安があったように思えます。わたしと二人は違う。だから、一緒にいられなくなるかもしれないと。
それが顕著に表れているのが「きらりちゃんや、のえるちゃんや、トライニャングルみたいに、できない」という台詞。こべにが恐れているのは、自分のアイドル適性以上に、他のメンバーと離れてしまうことだというのが台詞の端々から伺うことができます。
この子は多分、常に他人との間で相対化された基準の中に自分を置いていて、それは一般的には普通のことであるのだけど、実はこのアニメではとても珍しい。きらりも自分の実力に落ち込むことはあるけど、それは他人との比較という観点ではなかったと思う。なぜなら、きらりにとってアイドルとは「人を幸せにするもの」であり、その先に自分の姿はない。だからこそ、純粋にお客さんのためにがんばることができるのだろうけど・・・。
アイドルになった経緯から、アイドルとして目指すものまで、きらりとこべには実に対照的。だからこそ、面白い。