坂道のアポロン 総感

まずやっぱりジャズがテーマ、というアイデアが面白い。女の子バンドが流行した昨今のアニメ界の流れに乗っているようでアンチテーゼ的でもあり。クラシック以上に敷居が高い印象なジャズをうまくエンターテイメントにしてくれました。

渡辺信一郎菅野よう子のコンビでジャズアニメということで期待半分不安半分でしたが、予想以上に取っ付きやすく、それゆえジャズの楽しさもすんなり入ってきた気がします。作画は全体的に質が高く、もちろんジャズの演奏シーンの作画は素晴らしかった。

長崎を舞台にした、異国情緒とノスタルジーが融和した世界は素直に心地よい。その中で反発しながらも絆を深めていく薫さんと千太郎の友情がグッと来ますね。高校生だから恋愛要素は当然出てきますが、それすらも二人の絆を深めるための叩き台でしかないようにすら思えるのです。

お話という点で言えば、1クールの間に話をあっちこっちと動かしすぎだったり、色々放り投げて8年後にいきなり全部解決!というラストの適当さだったり、全体的に見ると不満な点はあるのですが、個別エピソードに関しては毎回楽しく見させていただきました。ただやっぱり、ストーリー全体の中で大きな筋や流れと言うものを見せて欲しかったかなあ・・・と贅沢なことを思ったりします。

キャラクターで言えば淳一兄ちゃんが一番好きだったので、もっと活躍の場が見たかったですよ。まあ、友人を失って酒と女に溺れていく淳一さんも悪くはないですが(笑)

そんなこんなで楽しませていただきました。やっぱりライブが出てくるアニメは名作であるよ。