僕は友達が少ない 総感

人気のあるらしい原作だったので、一体どういう作品なんだろう!?って思ってましたが、なるほどねー。

友達のいない「残念な美少女」と仲良くなっちゃうよ!というエロゲーっぽい設定ですが、やはり眼を引くのはキャラクターのかわいさ。ドSっぽくて口が悪いけどエア友達とか作っちゃう三日月夜空ちゃん、容姿端麗でスポーツ万能でスペック的にはパーフェクトだけどやっぱり友達のいない柏崎星奈ちゃん。かわいいね。夜空に言葉責めされて泣きながら走っていっちゃう星奈がかわいい。

原作のイラストをアニメ用にデザインするのは大変だろうと思ってましたが、独特の艶めかしさを上手いことアニメにしてきましたね。別作品ですが「電波女と青春男」の解釈が素晴らしくて、こんな前例があったらすごいプレッシャーだよなあ・・・というのも含めて考えると、中々よかったのではないでしょうか。もしかしたら、アニメ化しにくいようでいて、案外アニメ映えする絵柄なのかも。

キャラクターとしては、やっぱり僕は柏崎星奈ちゃん!肉かわいいよ。肉を愛でてるだけで楽しい。あんな美少女が僕だけと友達でいるなんて素晴らしいじゃないですか!女王様キャラのようでいて、実はMっ気があるところがかわいい。虐げられながらも夜空に懐いちゃって、「肉」とか無茶苦茶なあだ名を付けられても喜んじゃうところがかわいい。小鷹の携帯を知りたかったのに携帯が無くて聞けない、で思い余って同じ機種を買っちゃったりするところがかわいい。伊藤かな恵ちゃんの声もかわいい。

さて。性格以外はパーフェクトと評される星奈。なんでこんな子が夜空に懐くのか。素直な読みを入れれば、女王様キャラでおべんちゃらにウンザリしている星奈は、自分に媚びない夜空を気に入ってるのでしょう。小鷹くんが好きなのも同じような理由だろうし。で、それが行き過ぎて若干Mっぽくなってるんだろうなあ・・・。

一方。純粋に友達が欲しくて隣人部に入った星奈に対して、創立者の夜空にとっては小鷹と二人になる口実でしか無かったわけで。だから夜空の星奈に対する態度は、まあ生来の性格や「からかって面白い」という感情も多少はある*1のでしょうが、小鷹と二人でいるのに星奈が邪魔だという部分が大きいんじゃないかな。少なくとも表面的には星奈に対する情というものが感じられないし・・・。その辺りの、思いの非対称性というのを考えると何やら切ない気がします。

そしてさらに重要なのは、星奈が自分に媚びない人に魅力を感じているのだとするならば、その人が自分を好きになったら魅力を感じなくなるのではないか?ということ。夜空にいじめられて泣かされても、そんな夜空が好き。でも、夜空が自分に対して優しく接するようになったら、そんな夜空に「媚び」を感じてしまったら、好きという感情は消えてしまうんじゃないだろうか。自分を好きじゃない人が好き。切ないね。でもそんな星奈ちゃんが俺は好きだよ。

ただ、この二律背反には簡単な答えがあって。どちらが上でも下でもない、星奈と対等な立場の友達がいればよい。誰かを好きになることは媚びることとイコールではない。いつか星奈がそのことに気付く日が来るのでしょうが・・・。両極端に走ってしまう未成熟さもまた星奈の愛しさではあります。

っと。肉の話ばかりしてしまった。話を戻してアニメの感想。これだけ盛り上がっといて何ですが、全体としては初回の出オチ感が凄まじく、その熱量を最後まで維持しきれなかったかなあ・・・という感じ。友達が欲しいという割には具体的な活動を特にしているわけでもなく。ヒロインとの関係が大きく動いたわけでもなく。夜空が幼馴染のソラだった!で1クール終わりって、明らかに続編意識してないか?夜空と星奈以外の登場人物は完全に空気だったし。あいつら別に要らんやろ。

キャラクターが魅力的なだけに、その魅力を発揮しきれない構成の拙さが残念ではありました。2期があること前提なら、まあプロローグとしてはこんなもんか、という感じですかね。

*1:と信じたい