シゴフミ 第02話「ロケット」

あ、後味わりい・・・。考えてみれば、シゴフミというネタの前提として人が死ぬんだよなあ。救いのない話がダメとは思わないけど、自分の中では、それは人事を尽くした結果として救いが無いラストしかありえなかった・・・という状況でのみ許容されるものだと思ってて、単に救いのない話をしたいがためのエピソードはどうにも納得しかねるものがあります。特に翔太が物語の都合だけで殺されたように見えてしまって、その辺に感情移入させてくれれば納得のいく話だったのかも知れませんが・・・。
とはいえ、無難なお涙頂戴にすることもできただろうに、敢えてこのファーストエピソードなのでしょう。作画や演出は非常に質が高く、安易な萌えを排除して視聴者に大幅なフィルターをかけるという意味では実にうまく機能していたのではないでしょうか。
俺は二度と見ないけど。

追記

他所様の感想を見たり一人で考えたりして、自分なりにこのエピソードの主題が分かってきたような気がします。
人の心に潜む光と闇、希望と絶望、正気と狂気。表裏一体の感情が「シゴフミ」によって呼び起される。それは「世界で最も純粋」であるがゆえに、世界で最も美しい思い。明日奈という女の子を通して、人の心がもつ二面性と、その奥にある純粋な思いを描き出すというのが今回のテーマだったのかな、と思いました。
廃ビルは売春*1を強制された絶望と憎しみの象徴であると同時に、翔太とロケットの夢を見ていた希望と憧れの象徴。誰よりも憧れていたからこそ、誰よりも憎かった。そんな矛盾した思いが、父親と翔太のシゴフミによって両極端の形を取って表れる。短絡的に見える翔太殺害や逃走劇も、シゴフミによって明日奈が潜在的に抱えていた「純粋な狂気」が呼び起こされたと考えれば納得できるような気がします。
ただ、それにしても・・・明日奈の感情がスイッチするきっかけや、そこに至るまでの過程をもう少しじっくり見せて欲しかったという思いは変わらない。今回はどうにも技巧が勝ちすぎて、お話と演出のバランスが合ってないように思えます。演出に技巧を凝らすなら、efのようなシンプルなお話にするか、雲の向こう、約束の場所みたいに抽象的・観念的なお話がよかったな。
とはいえ、プラスの方向にしろマイナスの方向にしろ、心を揺さぶるお話だったことは確かだと思います。俺は残念ながら嫌悪感が先に来てしまったのだけど・・・。

*1:TVだから曖昧な表現にしてるけど、明らかに売春でしょ