「カラフル」見たよ

用事のついでに見てみました。アニメは家でも見れるけど、時間と金を使って2時間スクリーンの前で集中してアニメを見るという作業は意外なほどストレス解消になるね。

さてこの作品。今日上映していためぼしいアニメ作品がこれだけだったというのが第一の理由なのですが、恥ずかしながら原恵一の作品を今まで見たことがなかったり、テレビで散々CMしてたり、気になる存在ではありました。

お話としては、一度死んだ主人公が「修行」と称して、自殺した小林真くん(中3)の身体に取り付いて人生やり直すよ!みたいな。CMの雰囲気から湿っぽい話だろうなーと想像してた通り、2時間強の上映時間中2時間弱くらい暗い展開が続くという・・・。

母親は不倫してて、父親は冴えなくて、兄は愛想がなくて、好きな子は売春してて、極めつけに本人は虐められてて・・・と絵に書いたような不幸っぷり。過剰にシリアスにするでもなく、ギャグで笑い飛ばすでもなく、生々しい二子玉川・等々力の情景描写の中で淡々と日常を描いていくので、陰鬱とした空気が重くのしかかり続ける。最後の最後で、ようやく真くんに友達ができたり家族と仲直りしたりしてハッピーエンド。でもそれは結局マイナスがゼロになる類のカタルシスで、感動というより「はーやれやれ」と言う気持ちだったが正直なところです。

といっても、全然面白くなかったのかと言えばそういうわけでもなく。キャラクターはどの子も個性的で楽しかったですよ。

まずは天使ちゃんことプラプラ。ショタ心をくすぐりますわ。小生意気な言動もカワイイし、真に友達のことを聞かれて自分のことと勘違いして恥ずかしがったりするのもカワイイ!この子を主人公にしたアナザーストーリーを見てみたいですよ。

次はビッチな桑原ひろか。エロい。売春とかガセネタだろう・・・と思ってたのにガチでビックリしたわ!しかしエロい。セックスのリアリティが出るだけでエロさが全然違ってくるよなー。

挙動不審なクラスメート・佐野唱子さん。これはオタク受けしそうだよね(笑)。もっと出番が欲しかった!

そして個人的にはずっと感情移入してしまっていた、真のお母さん。不倫をした理由については本編で語られず、作品中ではずっと息子に献身的に尽くす母親として描かれてましたね。それだけに、母親に対して冷たい態度を取り続ける真を見てるのが辛くて・・・。もう何なのあのガキは!とずっと思ってたよ。献身的に尽くした義理の(?)母は「ありがとう」の一言も言わずに死に、父親は家にいない、息子との仲も上手くいかない。それでも母親は聖人君子でいろと?ひとりでは耐えきれない重圧を支えてくれる誰かに流されてしまうことは、それほどの報いを受けるべき罪だというのか?

っとひとしきりイラッとしたところでテーマの話につながる。淡々と出来事を置いてるだけの構成なので意外と分かりにくかったりするんだけど、敢えてテーマ的なものの解釈をするのなら、タイトルの「カラフル」ということになるのでしょう。

世の中にはいろんな人がいて、それぞれがいろんな色を持っている。そして、一人の人間の中にさえいろんな部分がある。人の中には汚い色も綺麗な色もあって、どちらが嘘とか本当とかじゃなく、そんな様々な色で人間はできている。そして、そんな人間が作り出したこの世界は、これほどまでに「カラフル」に彩られている。

好意的かつ無理やり解釈するとこんな感じかな。「真」の存在を客観視することによって、色々な人からみた「真」の存在を描き出していくとともに、真の周りにいる人達の表と裏、汚い色と綺麗な色が見えてくる。そういう視点で思い返してみると、バラバラのようでいても筋の通った話ではあったのかも。

しかしまあ・・・テーマはよかったのに、それを「人間はカラフルでいいんです!」とか「生きるって素晴らしい!」みたいに、妙に説教臭くまとめてくるのが何とも。主題はあくまでも真に見えるセカイであって、小林真として生き続けることを選んだのは真の判断にすぎないわけで。それを視聴者に押し付けるのは違うんじゃない?と思うのですよ。好意的に考えれば、その辺は一般向けにテーマを分かりやすく見せていたのかなあ・・・とも思うのですが。


大体そんな感じかな。キャラクターは魅力的でテーマも面白かったのだけど、ターゲット層がイマイチ分からなくて中途半端な作品になってしまったのは残念です。

  • 合唱曲にアンジェラ・アキとか出てきて引いた・・・。現代っ子め。
  • さりげなく日高里菜が出てたのは見逃しませんでしたよ!
  • どーでもいいけど、「輪廻転生」は救いではなく業だったはずなのだけど。解脱することにより輪廻の呪縛から解放されるのが目的なんじゃないの・・・?