おおかみかくし 総感

竜騎士07の原作をアニメ化すると、どこが作ってもこうなっちゃうんだな・・・と思わず苦笑してしまう作品でした。

ひぐらしのなく頃に」に近いイメージの、閉鎖的な田舎町に伝わるフォークロア。大きなお話としては異なる種族同士の共存という王道ストーリーをベースにしつつ、独特の世界観とPEACH-PITのかわいいキャラクターが作品世界を広げていく・・・はずだったんだよなあ。

「謎」とは名ばかりの設定をなぞるだけのお話に、何も考えず流されるだけの主人公、緊張感のない脇役たちと、それぞれの要素が見事にバラバラ。「何を見せたいか」が伝わらずに表面的なストーリーだけを追いかけた挙句、どこにもたどり着かないという不幸な作品になってしまったのは非常に残念。

ただ、8話から9話にかけての眠のエピソードは光るものがありました。特に8話は、自分の中で眠という子の存在が大きく変化したのが印象深いです。かわいいものが好きで、クラスメートが好きで、そんな普通の女の子でいたかった眠。そして、そのために払った大きな犠牲。そこまでして守りたかった眠の日常というものについて、色々と考えさせられた回でもありました。

フラフラと定まらない博士視点から、眠視点で物語を捉えることによって1本筋が通ってきたのも嬉しかったです。もう少し早くこの方向性が見えていれば、もしかしたら全体の印象も変わってきたのかも。

あと言っておきたいのが、マナちゃん。久しぶりに藤田咲がメインキャラクターで、しかも結構かわいい子だったのに、見せ場が少なすぎる!もっとお当番回的なものがあればよかったのになあ・・・。

全体的な構成としては残念な部分が多かったけど、3話の一誠さんの変態っぷりっとか、8話から9話の眠のかわいさとか、妙に中毒性のあるはっさくCMソングとか、そして最終回の弾けっぷりとか、単発のネタの力は特筆すべきものがありました。だからこそ、文句を言いつつも最後まで見続けてしまったのでしょう。

ポテンシャルの高さが各所に感じられただけに、やっぱり残念だという思いが強くなっちゃうな。単に面白くないだけならいいんだけど、もっと面白さを引き出せたはずの物語が中途半端に終わってしまうのは残念でたまらないです。