会長はメイド様! 総感

終わってしまいました・・・。

タイトルからすでに出オチな感じで、内容もそのまま生徒会長がメイド喫茶で働いてる、という内容だったりするのですが。

ただこの作品での「メイド喫茶」は、いわゆる「アキバ系」カルチャーを土台としたものではなく、二人の秘密の象徴であったり、美咲に無茶ブリをするための仕掛けだったりするので、内容としては極めてベーシックな少女漫画。真っ直ぐで一生懸命な美咲と、完璧イケメンの碓氷という組み合わせも典型的な白泉社ノリだしね。

原作を読んでない自分の偏見かもしれないけど、たぶん漫画だけを読んでいたらそれほど面白い話じゃないと思う。プロットが斬新なわけでもないし、キャラクターがすごく特徴的ってわけでもない。そんな普通の素材をここまで引き上げたのが、作画や演出のテンションであり声優さんの演技だったんじゃないでしょうか。

いやもちろん、原作がつまらないって言ってるわけではなく。作品をここまで面白くするベースを持ってる原作なんだから、つまらないわけはない。もしかしたら、原作は原作ですごく面白いものなのかもしれない。でも、だとしたら、このアニメ版は原作を忠実になぞるのではなく、原作からエッセンスを抽出し、アニメーションとして昇華させた作品だったのだと思います。

自分が桜井弘明の少女漫画原作アニメを見て育った子だから・・・というのもあるんだろうけど、やっぱりこの雰囲気は好きなんです。遊びを入れつつも緩急の効いた演出、それでいて演出が勝ちすぎずに最後は声優の演技に委ねるという絶妙なバランス。そして、その信頼に応えてくれた声優さんたち。ヘンな言い方するけど、アニメーションとしてすごくよくできた作品だったな、という印象でした。

個人的には、最終回みたいにラブリーな美咲ちゃんも好きなんだけど、例えば8話で見せるようなカッコイイ美咲ちゃんが大好き。決めの音楽に合わせた美咲の見得切りシーンがもうカッコよくて・・・。あのシーンは、作品全体の中で一番好きなシーンのひとつでしたね。

美咲といえば。やはり藤村歩に触れずにはいられないでしょう。一生懸命で、真っ直ぐで、でも未完成で、女の子っぽい弱さもあって・・・という、陳腐な言い方をすれば強さと弱さが共存する美咲。これはもう藤村歩以上にハマる役者を俺は知らない、というくらいにマッチしていました。美咲の持つ本質的な気高さというのは藤村歩の声に依る部分が大きかった気がします。この説得力はすごかった・・・。ファンとしてもかなり満足度の高い作品でしたね。これが聞きたくて藤村歩のファンやってんだ!的な欲求を十二分に満たしてくれました。

あと何か書くことあったかな。あ、バラエティ豊かな脇役も楽しかったですね。3バカはもちろんのこと、さくら&しず子のお友達コンビ、メイドラテの面々など、作品を楽しく盛り上げてくれました。特にメイドラテのメンバーは原作より大幅に出番が増えてたらしく、美咲の「もうひとつの居場所」としてのメイド喫茶が存在感を発揮していたように思います。欲をいえば、さつき店長のお当番回が・・・見たかったですよ・・・。

さつき店長といえば。キャラ的にも年齢的にも(笑)松来未祐じゃないのか、って当初は思っていたものですが、すっかり豊崎愛生に慣れてしまいましたね。30に見えないとはいえ、若手の声優が実年齢より上のキャラを演じるって中々ない機会だったんじゃないかな?自分の記憶する限りでは、今までこういうお姉さんキャラってアニメでは聞いたことなかったし・・・。見た目が若くても、自分が年上であることを意識してるのが演技からちゃんと伝わってきたのもよかったなー。

設定もキャラクターも、スタッフも役者もすごく魅力的で、それぞれが持ち味を遺憾なく発揮してくれた名作でした。しかし、やっぱり2クールというのは全体のお話を考えると物足りない・・・。美咲がメイド喫茶のバイトを隠すことの意味、碓氷の抱える闇、それらを乗り越えた二人の新しい関係。まだまだ見たい話はたくさんある。1年シリーズなら、脇役メインにしたオリジナルエピソードだって作れたかもしれない。そう思うと消化不良の感は否定できないです。

しかし、最終回の美咲が本シリーズにおけるアニメスタッフの答えであるのなら、それを持って納得せざるを得ないだけのモノはもらってしまったのかもしれません。

何にしても、毎週楽しみな作品でした。半年なんてあっという間だったね・・・。