とある科学の超電磁砲 総感

終わりよければ全てよし!

・・・ということで。最終回については最終回の感想に書いてあるので、今までのお話を振り返りつつ、作品全体について考えてみましょう。

前半は、ライトなお話から段々とシリアスな展開に入っていくレベルアッパー編。9話から12話あたりの盛り上がりが、自分の中ではシリーズ屈指だったかな。レベルアッパーという都市伝説をキーにして、レベル0の佐天さんが「能力」とは何かを掘り下げて行くお話はとても心が痛くて・・・。鬱屈した佐天さんの思いが溢れた9話の感想は、思わず感情移入してしまいました。そして前半のエピソードを締める、12話での美琴の気高さと強さも素晴らしかった。

感動の前半が終わって、後半はどういうお話を見せてくれるんだろう・・・と期待していたのですが、出てくるエピソードはどうでもいい脇役のどうでもいい話ばかり。ようやく始まったラストエピソードも、取って付けたようなゲストキャラに取って付けたような敵キャラ、取って付けたような対立に取って付けたような初春の能力。こりゃダメだ、後半は蛇足だった・・・なんて思っていたのですが、最終回の盛り上がりには正直驚いたよ。

もちろん文句はたくさんある。この最終回を到達点とするのなら、後半でことさら美琴の孤独を煽っていたのは何だったのか。美琴ぼっちOPはなんだったのか。美琴を中心とした、仲間の絆を書きたいのであれば無駄なものが多すぎた。残酷なことを言えば、春上さんはいなくてもよかったと思うのです。そんな取って付けたような友達ごっこを書くよりも、もっと大切な事があったでしょう。佐天さんが独りじゃないのは分かっているけど、美琴はずっと独りだった。10話で決定的な断絶を見せておいて、「友達でしょ」とはよく言ったもんだ。美琴は佐天さんを理解していないし、佐天さんも美琴を理解してないでしょ。

まだまだ言い始めるときりがないんだけど、最終回がすごく楽しかったので、あんまり強く言えないんだよね・・・。好意的に後半のストーリーを解釈すると、「能力とは」ということについて掘り下げていった前半に対して、「学園都市」という居場所を掘り下げていったシリーズになるのかな。能力者が能力者として居られる場所としての学園都市、その光と闇。「学園都市は、私たちが私たちでいられる最高の居場所なの」という美琴の台詞が印象的でした。

・・・っと、そんな感じかな。全体的には作画の質も高くて、個々のエピソード自体の完成度も高かったと思います。間違いなく今シリーズを代表する作品の1つでした。