とある科学の超電磁砲 第12話「AIMバースト」

一万人の希望と絶望、羨望と嫉妬。そんな一万人の思いを真正面から受け止め、跡形もなく吹っ飛ばすレールガンの力はすごいなあ・・・。

園都市において「レベル」が全てを支配するのなら、その頂点に立つレベル5というのは単に力が強いというだけじゃないはず。表層的にもそう思ってる人は意外と少なく、正面切って口に出す人はもっと少ないだろうけど、誰だって高レベル能力者に対しては潜在的に何らかの複雑な感情を持っているのでしょう。それは心のきれい汚いじゃなく、世界のシステム上避け得ないもの。だからこそ、美琴はみんなの思いから、そして自分自身の力から逃げちゃだめなんだよね。

AIMバーストに対して全力の電撃をぶつける美琴。もちろん、学園都市のみんなを守りたい気持ちもあった。佐天を助けたい気持ちだってあったでしょう。もしかしたら、1万人の無能力者を救いたいと言う気持ちすらあったかもしれない。しかし、1万人の思いの結晶であるAIMバーストに全力のレールガンを放ったシーンからは、そのどれでもない「どうだ、これがレベル5だ!」という美琴の純然たる意思が感じられたように思えます。

私にはあなた達の気持ちは分からない。だから、私のいるこの場所まで這い上がって来いと。お為ごかしでも、傷を舐めあうでもない、実に美琴らしい・・・美琴にしかできないやり方でした。


今までは、割と繊細に佐天さんと初春の思いを積み重ねてお話を展開させていたのを、美琴の少年漫画的な価値観で全部吹っ飛ばすというのはある意味爽快ですらあったなあ。正義の名のもとに美琴が延々説教を繰り広げる展開よりもずっとよかった。想像していたよりも、美琴に対して予防線を張っていないというか・・・自分が悪役になることを恐れていないところがすごくよかった。


作画やアクション的な部分でも見どころはたくさんあって、なんだか劇場アニメを見てるようなダイナミックさと緻密さを感じましたね。AIMバーストさんがモコモコしてるのが超怖かった・・・!キモイよー!!

にしてもアレだよね。AIM拡散力場は、うまいこと具現化すれば風斬氷華みたいなラブリー美少女が生まれるっていうのに、よりにもよってあんな不気味なものを生まなくても・・・。

追記

うーん、なんでみんな美琴のことを分かろうとしないのかなあ。美琴に誰かを救うことなんてできないし、救う義務もない。美琴はただ真っすぐ走ってるだけなんだよ。そりゃー時には見ていてムカツクこともあるけれど、自分が傷つくことも、悪役になることも恐れず進み続ける美琴が俺は好きだよ。

追記2

アニメの美琴と、原作(コミック)の美琴は若干ニュアンスが違うようですね。そう思って本編を反芻してみると味わい深い・・・。
自分の感想でいえば

だから、私のいるこの場所まで這い上がって来いと。

この部分はアニメの美琴だからこそ出てきた感想だったんだなあ。漫画版の美琴は、やることは同じでもどこか人を寄せ付けない超然とした強さを感じます。微妙なニュアンスなんだろうけど、アニメの美琴を理解するうえで大きなポイントのようにも思えますね。