夢色パティシエール 第10話「思いでのイチゴタルト」

前回のお話のラストが急展開で、ちょっと心配だったのですが・・・杞憂だったようです。

サブタイが実はミスリードになってて、というか俺が勘違いしていただけかもしれないけど、おばあちゃんのイチゴタルトを食べて復活!という回じゃなかったのね。そういう安易な解決を許さず、厳しい現実を突きつけながらも、だからこそ前を向いて進むことの大切さが身に染みるエピソードでした。

急展開とは言ってますが、いちごの思いをよく考えてみると、それほどありえない展開じゃない。もちろん花房たちが言うように「普段優しい僕たちに言われた」というのが直接のきっかけだとは思うけど、それだけじゃないんだよね。今までも厳しい言葉を投げつけられるシーンは確かにあった。でも、それはいちごの努力や気持ちが不足していたからだって分かってた。だからこそ、もっと努力して、思いを込めてスイーツを作り続けてこれた。そして前回、そんないちごの努力と思い、さらに仲間との絆によってお嬢に勝利することができた。言ってみれば、いちごは自分が持っている能力を、思いを、全て発揮することができた。

でも、そんないちご自身を、信じていた仲間に全否定されてしまう。パートナーであるバニラまで、こんなに頑張った自分を認めてくれない・・・。そう思ったいちごの心が折れてしまうのも、スイーツ作りの夢を諦めかけるのも、無理はないんじゃないかなあ。

前置きはこの辺で、本編。逃げ帰ったいちごを責めることなく受け入れてくれる家族の存在。4話の感想でも書いたけど、冗長に思える1話の効果がここでもちゃんと出てますね。いちごには、ちゃんと帰る家が残されてる。

ドライブを兼ねて、祖母が亡くなってからご無沙汰していた店へ行ってみるいちごたち。お店自体はヒカル叔父さんが継いでいたけど、そこには昔の面影は残っていなかった。いちご畑も今は無く、大好きなイチゴタルトは祖母の味とは別物だった。

ただ、祖母の頃とは形は違っていても、ヒカル叔父さんは叔父さんなりのやり方で店を守ってる。自分で苺を育てられない代わりに、近所の人から新鮮なものを分けてもらう。その代わりに、お客様ごとにスイーツを作るサービスや、バイクでの配達サービスを提供している。どちらのやり方がいいという話ではなく、そういう信頼関係の作り方もあるということ。

なつめとスイーツを作るシーンもよかったなあ。聖マリーに入る前はシロウト同然、というかシロウト以下の技術だったいちごが、なつめにスイーツの作り方を教えたりするなんて・・・。自分でも気づかないうちに、いちごはちゃんと成長しているんだよね。

「自分らしいやり方」とか「見えないけど確実に成長していること」とか「スイーツを作る楽しさ」とか、今回のお話でキーポイントになる要素がたくさん散りばめられたお話ながら、本編中では明示的に触れてないんだよね。それがスゴイ。子供向けには、なつめの「お姉ちゃんはキラキラしてる」という台詞でフォローしつつ、その台詞を支えるたくさんの要素は敢えて過剰に解説したりしない。だからこそ、厳しい現実を突きつけつつも説教臭くならず、いちごが自分で立ち直るお話としてキレイにまとまってるんだろうなあ。

いちごが立ち直るにあたって、誰も説得や説教らしいことをしていないのもスゴイ。唯一それらしい台詞が合ったのは、杏子ママさん。

「いちご、挫けそうになったらいつでも挫けていいのよ」
「その代わり、必ず立ち直りなさい。その繰り返しが、あなたをすこしずつ大きくしていくわ」

不覚にも、この台詞はちょっと感動しちゃった・・・。何も言わなくても、ちゃんといちごのことを考えてるんだよね・・・。

追記

プッチンプリンは、前回の引きか何かかと思った!まさかCMとはね。妙に作画がいいのも腹立たしい(笑)

追記2

はてなでは珍しいトラバ返しなど。

頭がきらきら光り輝いてるおっさんいい人すぎる。「おじさんは、自分のタルトを完成してしまったから、もう必要ないんだ」というのは寂しいことのようでありしかしすばらしいことであり。

2009-12-06

ヒカル叔父さんのことを書き忘れていたのですが、自分の思いをズバリ言い当ててくれたような感想だったので引用してみました。大人の偉大さと、「あがり」を迎えてしまったことの寂しさ。リアル子供が見ても、この感覚は分からないのかもなあ・・・。お祖母ちゃんのレシピを無理やり見たりしなかったのは、叔父さんなりのプライドでもあったのかもしれませんね。