大正野球娘。 総感

すごく好きな作品でした。質がいいとか悪いとかの話を超えて、とにかく好き。もしも自分が「好きなようにアニメを作っていい」と言われたら、多分この作品がひとつの理想形なのかも。

大きな感想としては、地味だけどすごく丁寧に作られた作品という印象。「大正時代に女の子だけの野球チームを作る」なんていう突飛なアイデアを、ここまで丁寧に掘り下げるとは思いませんでした。「大正時代」に「女の子」が「野球」をするという設定が、単なるネタではなくお話のテーマとして意味を持っていました。

町の風景から納豆売りの声に至るまで、細部に渡って作り上げられた大正世界のリアリティ、9人の女の子それぞれの個性と成長具合を意識した野球シーンの作画、そして9人+1人が全員個性を発揮して、誰一人として空気キャラを作らない構成。こういう丁寧さが、全てお話の盛り上がりに繋がってきてるんだよね。だからこそ、これまでのエピソードの集大成である最終回の、ひとつひとつのシーンに感動してしまうのです。

タイトルを一見して「流行の女の子+部活モノか」なんて視聴前は思っていましたが、蓋を開けてみれば実に真っ当な野球アニメ。改めて思い返してみると、4話のようなシリアス話や7話のようなバカ話、10話のサービス話などなど、短い期間の中でバラエティーに富んだエピソードを見せてくれました。そして、こんな短い期間にも関わらず、女の子全員のキャラがしっかりと立っていたのは本当にすごい。

6話の感想でも言ってますが、手間暇と愛情をたっぷりかけて丁寧に作られてるのが伝わってきて、それがとても心地よい作品でした。こういうアニメは幸せだよなあ・・・。願わくば、このお話を2クールでじっくり見たかった。