タユタマ-kiss on my deity- 総感

まとめますよ。モバイルモバイル。


初回の印象は、とにかく絵がかわいくて、大河原晴男のキャラデザが動き回るのを見てるだけで幸せ!という感じ。ただ、そんな中でもアメリの存在にはどこか引っかかるものを感じていました。

その思いが決定的になったのが3話。サブタイには「ましろ」の名前を冠しながら、実際は本シリーズを通したアメリの思いを確たるものにするエピソード。そして5話で溝が深まり、8話ではとうとう応龍に心を奪われてしまう。

こうして考えると、「太転依と人間の共存」というテーマについて最も象徴的に描かれたのがアメリという女の子であることがよく分かる。人間なら誰しもが心に抱えている、異質なものに対する拒絶反応。それが自分の心の最も弱く、最も大切な部分を浸蝕しようとしたとき、一体どのように変わっていくのか・・・。

そんなデリケートで重いテーマを真正面から描き出した本作品は、見ていて正直辛かったですね。自分の心の均衡を保とうとして、裕理を映画に誘おうとしたり裕理とましろをくっつけようとしたりと傍目から見れば右往左往するアメリの姿は限りなく滑稽で、その思いの強さを知ろうとすればするほど胸が痛むのでした。

ヒロインたちはほとんど空気で、正ヒロインのましろすら霞んでしまうほど。設定に関しても、アニメ本編だけでは不可解な点が多すぎる。それでも、アメリの内面の闇を描ききろうという部分はすごく伝わってきました。お話もそうなんだけど、8話の観覧車シーンに代表される演出もすごかったです。

アメリに出会えただけでも、この作品を見てよかった。


・・・と言いたいところだけど、あんな結末、俺は納得しねーよ!この忙しいのに原作ゲームやらなきゃ気が済まなくなっちゃったじゃないか・・・。どうせなら鵺シナリオがあるらしいXbox 360版をやりたいけど、本体持ってないんだよなー。

追記

おっと忘れてた。アメリの魅力を目いっぱい引き出してくれた下田麻美について書いておかねば。

上のほうにも書いたとおり、アメリという子はすごく難しい。表面に見える表情と、内面の感情がバラバラで、それでいて心の奥にある闇は変わらない。単に色んな感情表現をするってだけじゃなく、その奥に一本通った思いを表現するのはすごく難しいと思うんだよね。

その辺りをどこまで考慮してくれたかは分かりませんが、下田麻美の演技はよかった。エロゲー的な作り声ではあるんだけど、その中にもキャラクターがちゃんと生きてると言うか。特に、5話8話に代表されるような、アメリの感情がスイッチする台詞の解釈なんか好きだったなあ。