隠の王 第11話「カーテンコール」

雷鳴編、終了。雷光が清水家を出た理由が明らかになり、雷鳴の誤解も解けました。このまま仲良くなってくれればいいのだけど・・・元の仲良し兄妹に戻るには道が分かれすぎてしまったのでしょう。雷鳴と雷光、お互いを思うがゆえに道を違えなければならないというのは悲しすぎる。ほんと、隠の世とかそういうのは忘れて、幸せに暮らせる日は来ないのかな。


父も母も、親のように慕っていた伊肋おじさんも殺されてしまった雷鳴。雷鳴が兄を憎んだのは、そうしないと自分の心が壊れてしまうから。自分の家族を殺した兄は許せない。でも、兄のことは心配。そんな矛盾した感情を、「裏切り者の兄を『清水家として』始末する」という目標を立てることで折り合いをつけていたのでしょう。だから雷鳴は、兄を憎みつづけなければならない。
真相を知ろうとするのを頑なに拒否していたのは、それでも兄のことを心のどこかで信じていたのかもしれません。あの兄さんが理由も無く一族を殺すわけがない。でも、その理由を知ってしまって、兄を憎むことができなくなったら、この先何を目的に生きればいいのか。兄を憎めないのなら、家族を殺された悲しみや憤りをどこにぶつければいいのか。全ての真実を知ってなお前に進めるほど、雷鳴は強い子ではなかったのか・・・。

「なんでそうやって、一人で片付けようとするんだよ!」
「母さんも父さんもおじさんも好きだったよ!好きだったけど・・・」
「おんなじくらい兄さんが好きだったんだよ!!」

兄が一人で全て背負って自分には何も話してくれなかったこと、それすら雷鳴には裏切りに感じられたんだろうな。刀を飛ばされ、黒我聞という「建前」を失った雷鳴が自分の生の感情をぶつけるように雷光に殴りかかるシーンは胸が熱くなりました。この最後の台詞こそが、雷鳴の本当の思いだったのでしょう。

「雷光が母さんに従っていたら、俄雨さんは死んでたんでしょ」
「俄雨さんは、誰より雷光を慕っているよ」

雷光は、家や雷鳴を裏切ったことをずっと気にしていたのだと思います。一族を全員殺し、妹にも憎まれている今の自分は間違っているのではないか。もしあのとき母親に逆らったりしなければ・・・と後悔し続けていたのだと思います。そんな雷光にとって、俄雨の存在自体が自分の正しさ・・・というか、自分が存在してもいい理由だと思っていたんじゃないかな。