刀語 総感

長期シリーズもついに終わってしまいました。

毎月1時間ずつ1クールで、1年通すという珍しいコンセプトの作品。録画を忘れそうになるのが難点ではありますが(笑)、長く楽しめるのは嬉しいですね。

まず目を引くのが独特の絵柄。「化物語」の大ヒットがあった直後なだけに、化物語のシャフトらしいスタイリッシュな作風と本作品の淡々と進んでいくギャップは少々戸惑った記憶があります。それでも見ていくうちに、西尾維新の作風なのでしょう膨大で冗長な台詞回しと独特の絵柄が作り出す不思議な世界観に少しずつ引き込まれていきました。

パラレルワールド的な歴史モノをベースにしつつ、変体刀やその所有者、真庭忍軍と言った個性的なキャラクターがたくさん出てきます。その設定そのものが物語のキーになってたりして、その発想の奇抜さには驚きつつも楽しかったです。1話で本ずつ刀を集めるということで、1話完結だったのも見やすくてよかった。

1話完結のお話の中で、少しずつ変わっていく七花ととがめ。そんな二人の心を試すように立ちはだかる変体刀とその所有者。戦いそのものというよりも、戦いを通してお互いの心の中を抉っていくようなエピソードが多かったのも印象的。その2人の関係が結実し・・・そして散っていった最終回は、本当に感動させられました。

忘れられない話といえば、6話のこなゆきちゃん。七花が幼女に手をかけるのか!という意味でターニングポイントになったエピソードということももちろん印象深いけど、こなゆきのキャラクター・・・もっと言えば日高里菜の演技がすばらしかった。1話の収録の中で演技が変わっていくという経験は初めてだったので、これには本当に感動しましたね。

声優の話が出たところで。一時期に比べて主役級の役を見ることが少なくなった田村ゆかりの久々のメインヒロイン。今年は幸いなことに「B型H系」という作品もありましたが、それも含めて田村ゆかりの存在感を見せつけてくれたのは嬉しかった。やはりアニメファンとしては、アニメでの活躍が見たいのですよ。シリアスと萌え萌えの振り幅が極端なとがめさん、おまけに台詞は冗長だし難しい単語は多いし、相当大変だったんだろうなあ・・・。

あまりにも独特な世界観のせいか、こうして終わってみても不満らしい不満が特に思いつかないのは珍しい。そりゃあ話が分かりにくいとか唐突とか、普通の不満点は無いわけじゃないよ。でのこの作品に関して言えば、それもまた世界観のひとつと言えてしまえるような、独自の世界を作り出していたようにも思えます。そんな世界で1年の間過ごすことができたのは、とても楽しいことでした。