世紀末オカルト学院 総感

アニメノチカラ」最終章の本作品。前2作が今ひとつ刺さらなかったので、今回もまあ冷やかし程度だな・・・と思って見た初回が予想以上に面白かった。「オカルト」という題材と地味なキャラデザのイメージから、重々しい話を想像していただけに、かなりコメディよりの本編には驚かされたなー。

何より、キャラデザを見ただけでは何とも思わなかったマヤちゃんが、アニメで動くとこれほどかわいいとは!無機質なキャラクターに命を与える、まさしくこれはアニメーションの楽しみですよ。お互い親にトラウマを持つマヤと文明が、過去と未来を通して深め合う絆、そして最後に訪れる別れ・・・。二人が出会ったときには、そこから広がる物語を想像してワクワクしたものです。

・・・が、話を進めてみると、どうにも無駄な話が多いというか。こずえを通して「オカルト」に対する純粋な楽しさを、亜美を通して昔のマヤを、岡本あかりを通して父の娘に対する思いを、それぞれ掘り下げていこうって構成は悪くないと思うんだけど・・・。それぞれのエピソードがあまりにも単発すぎ、かつ冗長すぎて、結局このエピソードでマヤと文明はどう変わっていったのか?という点がイマイチ見えてこなかったかな。1クールしかないのに前後編でやるのはさすがに冗長だと思うし。ダラダラと関係ないお話をやって、最後に口先だけで「一緒に頑張ろう」みたいなこと言われてもなーという部分はどうしてもありましたね。

キャラクターは魅力的で、初回の掴みも素晴らしい。全体的に大きなミスはなかったけど、面白くなりきれなかったのは何でなんだろうな。ポテンシャルの高い作品だったし、マヤと文明の関係に限っていえば1クールという時間も決して足りないことはなかったのに、作品の魅力さを引き出しきれずに終わってしまったのは残念です。じゃーどうすれば面白くなるんだよ!と言われても、シロウトの自分には特に思いつかないのですが・・・。


キャラクターの話。改めて見ると、個性的なキャラクターがたくさん出てきて、それぞれ個性を発揮しまくってたなー。1クールという短い時間で、これほどキャラクターが生き生きしてるのはすごいことですよ。マヤちゃんの魅力は後で書くとして、エロス全開の美風さん、ギャグが冴えまくったこずえ、出るアニメ間違えてるよ!と突っ込みたくなる千尋さん、そしてJK&スマイルのコンビ。この子らが自発的に話を動かしていくだけで面白くなったはずなんだけどね・・・。ほんと勿体ない。

そしてヒロインの神代マヤ。最初の頃は不機嫌な顔ばかりしていたけど、亜美に見せる優しい表情だったり、文明を連れ回して年相応にはしゃぐ姿だったり、少しずつ色々な顔を見せてくれる。そんなマヤちゃんを見ていると、どんどん可愛く見えてくるんだよなー。アニメキャラを好きになるとき、キャラデザ自体の占める割合って驚くほど少ないんだよね。キャラデザの可愛さは初回のキャッチでしかないことがよく分かります。

日笠陽子の声もすばらしかった!「生徒会役員共」の感想でもベタ褒めに近い感じで書いてしまいましたが、本シーズンの2作品は自分の中で大きなブレイクスルーだったんですよ。失礼な話、「桑島法子コンパチ」とか「井上麻里奈っぽいな」とか、ここ1年ほど方向性を探りあぐねて色々悩んでたのです。それが一気に晴れた気持よさは、声オタやってて本当によかったと思う瞬間でした。凛々しさとイノセントさ、緊張感と緩さが同居するこの感覚は、日笠陽子でしか味わえない快感。今後が楽しみです。

そのくらいかな。全体的には、んー、やっぱり「もったいない」という思いがすごくあるなー。原作があるわけじゃないし、1クールでもっと盛り上げられたはずなんだよなー。好きなアニメだっただけに、どうしても「もっと」を期待してしまいますね。