おまもりひまり 第10話「妖しき猫の思い」

妖刀の刀鍛冶(ブラックスミス)


さて今回は、決戦前夜と言ったエピソードでしょうかね。今まで敵として戦ってきた面々が協力して巨悪と戦う!というのは定番ながらも燃える展開。

そして、今回のメインはやっぱり緋鞠の秘めた思い。

「それに、奴らは強い」
「若殿がそばにいると、私は・・・戦いの最中にまた・・・。だから・・・・・・」

もちろん、「護り刀」として優人を守りたいという思いは本当なのでしょう。でも冷静に考えて、優人を守ることが第一の目的なら、あれだけ苦戦した相手に一人で立ち向かう意味が無いことくらい分かるよね。手駒は多い方がいい。そして、優人を守りたいならそばにいるのが一番なはず。それにも関わらず、どうして緋鞠は一人で出ていこうとしたのか。

それは、正気を失い妖としての残酷な本能に目覚める自分を優人に見られたくなかったから。「護り刀」としての使命を果たすだけなら、心があろうとなかろうとどちらでもいい。むしろ、余計な心など無くしてしまった方が迷わなくて済んだかもしれない。「義務」だの「人と妖との共存」だのと理論武装しつつも、結局のところ最後の最後で緋鞠は自分の使命を捨てたのですよ。

こういう話では、主人公に血を流させないために一人で行くという流れが定番。それを逆手に取ったうまいミスリードになってるというのはもちろん、定番の構成からさらに一歩踏み込んでキャラクターの内面に迫ったという意味でも胸にくるものがあったなあ・・・。

そして、優人ですよ。主人の命を守るよりも、自分の恋心を優先させた緋鞠のエゴを知り、それでもなお「俺についてこい」と言ってしまう優人は・・・今までのヘタレっぷりが嘘のような男っぷり。

ただ残念なのは、ちゃんと見てないと、この辺りの深みが読み取れずにサラッと流されてしまいかねないんだよね。もっと「一人で行くな」「いや行く」の話を盛り上げつつ、少しずつ緋鞠を追い詰めつつ、とうとう最後に緋鞠が本音を漏らす・・・くらいの緊迫感があってもよかったかも。そんなことされたら絶対泣いてたな。