長年アニメファンやってると

「アニメに生かされてる」という思いを持つことがある。それは「アニメがあれば他には何もいらない」という依存とは少し違って「アニメがあるから現実を生きていける」みたいな、生活の基盤になってくれているという感じでしょうか。「長年」と言っても平均寿命の半分もファン歴のないヒヨッコが・・・とも思うんだけどね。別にいつでもそんなことを考えてるわけじゃなくて、節目節目で感じることが増えたなと。

その意味で、2010年は厳しい年明けでした。2008年の年末みたいにアニメに興味が薄れてきたのならまだマシなんだけど、アニメへの興味が薄れたわけでもないのに何の感想も思い浮かばない。端的に言えば「全滅」ということなんだけど、アニメがつまらないってことはアニメファンである自分自身の否定にも繋がってくる。逃げ道になってくれるエロゲーとかラノベもなかったし、本当に辛かった・・・。一番辛かったのは、つまらないと思いつつ、つまらない感想を書き続けなきゃいけなかったこと。土日に溜め込んだアニメを消化して、つまらないアニメのつまらない感想をたくさん書いた次の日に読み返した時の絶望と自己嫌悪は、書いた本人にしか分からないでしょうね。

そんな中で、ハートキャッチプリキュアですよ。どんなアニメを見ても面白いと思えない自分は感情を失ってしまったのか?とさえ思っていたところに、久しぶりに心の震える作品に出会えた喜びが想像つきますか?そりゃーテンションも上がるさ。思い入れ過ぎて変身バンクだけで泣いたりするのも仕方ないよ。この作品さえあれば、つまらないアニメのつまらない感想をどれだけ量産しても大丈夫。そう思える作品に出会えたことは幸せなことです。

そういう人間にとって、アニメと言うのは自分自身と切り離せない存在なわけです。アニメがあるから自分がある。もちろんアニメ以外の趣味が無いわけじゃないけど・・・アニメはもはや「趣味」という領域を超えつつあるのかも。アニメが食事に例えられるのがよく分かる。「美食」は確かに趣味ではあるけど、「食事」が趣味だっていう人はいないでしょ?

最近流行のオタクバレしちゃう系のラノベが気に入らないのは、そういうアニメファンのメンタリティをこれっぽっちも理解しようとせず、ただ表面的な属性だけでお話を作られるところ。

「乃木坂さんは乃木坂さんだろ」
「趣味なんか個性の一部だし、肝心なものはもっと根っこの方にあると思うし」

乃木坂春香の秘密 第01話「もう、ダメです…」 - エネルギー吸収と発散

「確かに桐乃は、人とは違う、あまり感心しない趣味を持ってるかもしんねえよ。じゃあ、聞くが、おまえはそのくらいのことで桐乃とは付き合えないと斬り捨てるわけか?」

http://amazon.jp/dp/4048674269

たとえお話の都合だとしても、「個性の一部」とか「そのくらいのこと」なんて平気で書いちゃう本に対して、アニメファンの立場から共感することは俺には無理だわ。

もちろん、アニメなんてただの趣味だという意見は否定しないし、アニメが素晴らしい芸術なんだと力説するつもりもない。ただ、こういうことを言ってる時点で、彼らはアニメファンではないんだな、と思うだけ。現実とはかけ離れた、分かりやすい「属性」としてシンボル化された「隠れオタ」のステレオタイプとして消費しておくのが精神衛生上よさそうですね。