君に届け 第11話「とくべつ?」

なし崩し的に胡桃沢梅さんと爽子が仲良くなっちゃった。

というわけで、くるみちゃん。やっぱこの子好きだわー。くるみは別に性格が悪いわけじゃなく、ただ一生懸命なだけなんだよ。かわいくて人気者であるが故に、誰かの「とくべつ」にはなれない・・・という話のようにも思えるけど、それは風早という反例がすぐそばにある。大事なのはそこじゃなくて、風早の趣味がマニアックすぎたってこと。

おそらくだけど、くるみは元々の造形もさることながら、自分をかわいく見せるための努力も惜しまなかったと思うんだよね。みんなのアイドルのように振舞ってるのも風早の気を引きたいからだし、直接のアプローチも欠かさずしてる。ただ不幸だったのは、そういう一般的に効果のある対策が、風早にはことごとく通じなかったということなのですよ。

それに対して、たまたま風早に発見されて世話を焼かれてる爽子に「何もしないのに風早に優しくされて・・・」と思ってしまうのは当然でしょう。もちろん爽子も努力はしてるんだけど、それは風早に好かれるための努力じゃないわけで。

パーフェクトなくるみの、たったひとつのコンプレックスが「梅」という名前というのもむしろ萌ポイントというか。爽子にイライラしつつも「爽子」という名前には素直に好感を示してたり、自分の名前を「かわいい」と言ってくれた爽子に何となく懐いてしまったり、そういう隙の多さもかわいいよなあ。「隙」は「好き」に通じる・・・とか。今思いついただけですが。

個人的な好みの話をさせてもらえれば、頑張ったらうまく行くってのは当たり前なんだよ。才能も努力もある人が、頑張ってもうまく行かない姿に惹かれることだってある。そういう理不尽な環境に身を置いてもなお、くるみの根っこの部分にあるピュアさは失われていない。実は結構黒いみたいなこと言われてるかもしれないけど、本当に黒い子だったら外から黒さを見せるはずがないでしょ。そういう自分を隠せないってのを含めてのピュアさ。自分の名前を褒められて素直に喜んだりするのもそうだよね。少女漫画の悪役なのにどこか憎めない、不思議な子でもあります。

前回前々回も言ってるけど、何度でも言うよ。くるみのキャラは、平野綾の声がやっぱりハマリすぎだよなー。ぱっと見アイドルで、実は黒くて、でも何か憎めなくて・・・という微妙なニュアンスをここまで表現出来る人は平野綾以外にいないんじゃないかな。実は今まで平野綾に対して一度も好意的な感想を書いたことがないので、いきなりこんなベタ褒めしちゃう変貌ぶりに自分でも驚いた。


くるみの台詞で印象に残ったのはこれ。

「特別ってなんで?」
「ちょっと親切にしてくれたら、風早じゃなくたっていいんでしょ?」

前回なにげなく書いた感想の話が、ここまでストレートに出てくるとは思わなかった。今の段階では解決不可能な課題を前に、爽子はどうするんだ?と思っていたら、いきなり真田にフラグ立てまくりで笑っちゃった。そ、それでいいのか?この先「やっぱり真田くんじゃダメだ」みたいな話になるんだったら、真田の扱いって一体何なのよ?って感じだよね・・・。

それはそうと、上の台詞。くるみの言う事は至極ごもっともだと思うんだよ。くるみが風早を好きな理由は分からないけど、少なくとも爽子に関しては、それって刷り込みじゃないの?としか思えないんだよなあ。そんな子に「くるみちゃんの気持ちは分かる」なんて言われたら、俺だってイラッとする。お前なんかに何が分かると。お前の「好き」と私の「好き」は全然違うんだと。