シャングリ・ラ 総感

終わった瞬間の感想を素直に言うと「ふう、色々あったけど、ようやく終わったか」。

2クールという期間は決して長くはないけど、24話の間に色々な出来事がありすぎて、なんだか1年モノのアニメを見終えたような感慨に浸ってしまいます。

さて1話から思い出を振り返ってみると・・・。初回の印象では、炭素経済を軸にした近未来美少女活劇SFチックなものを想像していたのですが、段々と話があらぬ方向に向かって行きました。水蛭子が出てきた辺りからオカルト風味が見え始め、最終的には國子は卑弥呼のクローンだった!とか、ゼウスは巨大な生体コンピューターだった!とか、もうメチャメチャなお話になってしまったなー。

単発のエピソードでも、7話辺りでは唐突にヤンキーアニメみたいになったり、13話ではドッグファイトを繰り広げるアクションアニメになったり、果てはアキバ妖精マジカルギーナとか・・・。なんだその何でもありな世界観は!

全体的にはとにかくメチャメチャにぶっ飛んでて、こっちは毎回呆然としてるような感じだったのですが、それでも見続けたのはキャラクターの魅力のおかげ。

その忌まわしき力とアトラスランクの高さのために、外界から完全に隔離された少女・美那さま。イノセントな子供が持つ残酷さと、それを誰も止めることができなかった美那の不幸な境遇に胸が痛みます。そんな美那に命の大切さを教えたミーコとの絆や、美那を見守り続けて最後は自らが母親となる決意をした小夜子の思いは感動的でした。

そして本作品の正ヒロイン*1、孤独な天才カーボニスト少女・香凛。ずっと自分の檻に閉じこもっていた香凛が少しずつ外へ出て行き、自分の手で新しい居場所を作り上げていく過程は本シリーズの裏シナリオと言ってもいいでしょう。そのきっかけとなった11話は今思い出しても胸が熱くなります。23話辺りで、香凛は実は両親に利用されただけ、というシーンがあったけど、そんなはずない。両親が亡くなったのは本当だとしても、香凛はちゃんと愛されてた。それが分かったからこそ、新しい世界へ足を踏み出したんでしょ?そして、今はもう新しい世界に自分の居場所だってある。シリーズを通して一番変わり、そして一番成長したのは香凛だったんじゃないかなと思うのです。

一応主人公の國子。この子は最後まで良く分からなかったなー。いきなり切れたり落ち込んだり訳分からん。せっかく脇役が魅力的なのに、本筋のお話はメチャメチャ、主人公の思考回路はグチャグチャでは・・・。

こういうメチャメチャなアニメは好きだし、美那さまと香凛たんを見てるだけで楽しかったので十分満足なんだけど・・・。この豪華スタッフなら、B級的な楽しさじゃなくて、もっと正統派な名作を作ることもできたんじゃないかな。國子のブーメランとか、退廃した東京とか、炭素経済とか、世界観や設定はすごく魅力的なので、そう思うと少し残念な部分はありますね。

*1:俺的に