まりあ†ほりっく 第07話「疑惑の黒下着」

何気ない日常が数え切れない奇跡の上に成り立っている反面、複雑に絡み合った人間関係がたった一つのきっかけで解きほぐされる。同じ事象を共有しながらも、キャラクターのコンテキストによって全く異なるドラマが見えてくる。物語というのは、本当に不思議なものだよなあ・・・。

サチと桐が自分をのけ者にして仲良くしてるのが面白くない弓弦。嫉妬のあまり体調まで崩してしまうが、実は二人で弓弦の誕生日プレゼントを選んでいた・・・というお話。まあ、何てことないお話ではあるのですが、弓弦以外の視点からも今回の話を考えてみると、これがなかなか面白い。

今回のエピソードにおける感情の起伏は全て弓弦の内面世界で閉じているので、表面的な事象としては何も起こってないように見えてしまうんだよね。例えばかなこ視点で考えてみると、「最近元気のなかった弓弦さんは、どうやら体調が悪かったみたい。でもお祝いパーティー(?)で元気が出てよかった」程度の話でしかない。本編ではかなこの鈍感さがギャグのように描かれていたけど、そのイノセントさゆえに物事をシンプルに捉えることができるのは、かなこの大きな長所でもあると思います。

かなことは対照的に、全てを理解しているがゆえに事態のシンプルさを看過できた鞠也。他人に対して鋭い洞察力を見せる鞠也さんですが、じゃあ鞠也自身が困った時はどうするんだろう。鞠也にすら分からないほど複雑な問題に対して、助けてあげられる人がいるのだとしたら・・・それは、かなこの邪なイノセントさ(笑)しかないのではないでしょうか。

もう少し考えを進めて、今回の話を鞠也視点で考えてみると、また別な物語が見えてきます。かなこに弓弦の悩みを聞いた時は「経歴に傷をつけたくないから」と言い、弓弦に相談された時は「慕われたもんだなー俺も」と言い、ことさら偽悪を装うのは一体なぜなのか。単純な読みでは「愛されない子」というキーワードが思い浮かぶところですが*1、実際のところは鞠也にしか分からない。いや、鞠也自身も分かってないのかもしれません。なんでも自分に結びつける鞠也の自己愛の強さと、裏返しとしての自己嫌悪が垣間見えるエピソードでもありました。

*1:鞠也さんの言葉を借りると「仲間外れ」かな