テレパシー少女 蘭 総感

これほど感想の温度差が激しいアニメも珍しい。

この作品、見る前はノーマークで完全に冷やかしのつもりで見ていたのですが・・・。回を重ねるごとに、名波翠という女の子の魅力が引き出されていくのが面白くて、とうとう最終回まで見てしまいました。

キャラデザは垢抜けないし、演出は古めかしいし、お話は適当だし、普通に考えたら何も褒めるところのないアニメに見えてしまいます。「テレパシー少女」なのに名探偵コナンみたいなことばっかりやってるし。

ただ、この作品を名波翠の物語として捉えると話は全然違ってくる。各話でチョコチョコ挟まれるダイナミックなギャグ*1は楽しいし、台詞の端々に見える背景事情や蘭への思いもキャラクターに深みを与えてくれます。そして、これらの伏線が結実する翠のお当番回は本当にすばらしかった。

この作品に出てくる二人の「テレパシー少女」。二人の少女は光と影。蘭が希望の象徴だとすれば、翠は絶望の象徴。そんな翠が、どのようにして絶望に至ったのか、そして蘭という希望に出会ってどのように変わっていったのか。それこそが本作品のテーマであるように思えてなりません。特に10話19話は、それを象徴するシリーズ屈指の名エピソードだと思います。

シリアスな翠はもちろん魅力的なんだけど、凛のことを考えて目がハートになったり、ダイナミックな作画でボケてみたり、しょっちゅう食べ放題に行ってたり、魔法少女に変身したり・・・そんなお茶目な翠さんも俺は大好きです!

26話もやってるんだけど、どうでもいいお話が多すぎて、肝心の蘭と翠の関係についてはあまり踏み込めてないんだよね。それだけが残念。願わくば、1年シリーズくらいでじっくり腰を据えて見ていきたい作品でした。

*1:目がハートとか、名古屋コーチン食べ放題とか、牛とバトルとか・・・