ヒャッコ 第06話「向こう三軒 両側に虎」

このアニメは不思議だよなあ。お話は大したことないし、キャラクターも大して魅力的じゃないのに、場の空気やキャラクターの存在感がすごい。それでいて、どのキャラクターにも感情移入しない、どこか淡々と突き放した視点。

何より、龍姫のお当番回なのに龍姫自身の心理描写がほとんどない。両親がいなくて寂しいとか、友達がいなくて寂しいとか、そういうモノローグや回想があるのが普通でしょう。そういう方向ではなく、虎子たちやトシ子さんの状況を淡々と描きつつ、外側から見える龍姫のリアクションだけで内面を想像させる。ううーん、すごい。そして、それができるのは、このアニメの持つ「存在感」があるからこそだよなあ。

「わりと楽しかったんだから」と、龍姫が自分の感情を口にするシーンを最後の最後に持ってくるのもうまい。今まで見せなかった「楽しい」という感情が初めて出てくるからこそ、その言葉は大きな意味を持つんだよね。