とらドラ! 第06話「ほんとの自分」

亜美の心、アンロック!

というわけで、かわしまあみが自分の心を解き放つエピソード。亜美の抱える心の闇、大河への憧れ、そして自分自身を吹っ切るという一連の流れを丁寧な作画と演出で見せてくれました。しかし・・・何か、一番大切なものが見えないままにお話が進んでいるように思えて、どうにもスッキリしないエピソードでもありました。

「ほんとの自分」を解放するのは一般的にはいいことなのかもしれないけれど、亜美にとってもいいことなのか。そして、亜美はどうして「ほんとの自分」を解放したいと思ったのか。実のところ、亜美の素の性格に対してはマイナス面しか描かれてないように見えるので、解放したからどうなんだ、という大事なところが分からないんですよね。ただ・・・それはきっと、今後の話の中で少しずつ分かっていくのでしょう。

「あたしはね・・・この顔じゃなきゃダメなの」

川嶋亜美の「ウソの自分」。それは決して好きでやっているわけではなく、「この顔じゃなきゃダメ」なものらしい。本編では「ウソの自分」は否定的に捉えられているけれど、ウソとホントは表裏一体の合わせ鏡。ウソの中にこそ本当があるとすれば、亜美の被っていた仮面は「なりたい自分」そのもの。
外キャラであるかわいこブリッコも、ほんとの自分であるワガママな姫キャラも、元をたどれば「他人から認められたい」という承認欲求。この作品のキャラクターは、普通の人と少し違うことで少なからず他者との隔絶を感じさせるのですが、亜美からはもっと強く感情的な「孤独」が感じられてなりません。

「あの子は、いいよね」
「自分勝手で、目茶苦茶で、でも全く取り繕わないで・・・」
「それなのに、友達がいて、高須くんがいて」

自分を慕ってくれる男たちも、憧れてくれる友達も、ウソの自分を演じ続けて手に入れたもの。「ほんとの自分」では得られないと思っていたから、周りと自分にウソをつき続けるしかなかった。それほどまでに手に入れたかったものを、自分自身を無くしてまでも求めたものを、大河は何一つ無くすことなく持ち合わせている。

「これって・・・亜美ちゃんがあの下らない野郎にも、逢坂大河にも、負けてるってことだよね」

「この性格悪いツラのまま、生きてやるよ!あたしだって、やられっぱなしじゃねえっつの!!」

自分を解放することを決めた亜美。もちろん元々の負けず嫌いな性格もあるのでしょうが・・・どこか、大河への憧れが含まれてるように思えます。きっと亜美は、大河になりたかったんだな。だから、大河の持ち物である(笑)竜児が気になっているのでしょう。

ところで。今回、「ほんとの自分」を解放することを決めた亜美ですが、前回から結構素が出ていたような・・・。あの分だと、前の学校でも素がバレてもおかしくなかったのでは?あれでバレてないと思っているのであれば、今まで同世代の友達と接する機会が極端に少なかったことが想像できます。そして、ストーカーを極端に恐れるのは他人と接することへの恐怖心の表れ。そう考えると・・・やっぱり亜美からは「孤独」というキーワードを強く感じてしまいますね。