乃木坂春香の秘密 総感

例えるならば、ニコニコ動画で「乃木坂春香の秘密」というエロゲーのプレイ動画を見ているような。
主人公の綾瀬裕人の言動に意思が感じられず、常に「正解」の選択肢を選び続けるエロゲーの主人公のようでした。最終回の話で言えば、プレゼントを踏みにじられた裕人が春香の元へ行くことを決断したシーン。なぜ裕人が春香の元に行ったかと言えば、「春香の元へ行く」「家に帰る」という二択で「春香の元に行く」ことをメタ的な力が選択したから。そこに裕人自身の意思は・・・少なくとも俺には感じられませんでした*1
綾瀬裕人の感情を殺して単なるゲームトークンに仕立て上げ、脇役キャラを完全に空気化してまでも、ほぼ12話を通して執拗に書き続けてきた乃木坂春香の魅力はどうでしょう。様々なシチュエーションから春香の魅力を引き出そうとしていたのかもしれませんが、その一貫性のなさゆえに、春香すら一つの確固たる人格を持った女の子とは思えませんでした。バラバラな話でも、一本筋の通った感情があれば、それが基盤となったのでしょうが・・・唯一一貫していた「裕人が好き」という感情ですら自動的に与えられたものでは、こっちとしても感情移入のしようがない。
色々なシチュエーションで、笑ったり、泣いたり、恥ずかしがったり、コスプレしたりする春香は確かにかわいいんだけど・・・それだけならキャラ表見てればいいわけで。俺はそんな「かわいい」の先にあるものが見たかったな。

*1:最低限のエクスキューズはあるので、この辺は今までの積み重ねにどれだけ感情移入してるか、という話になると思うけど