スケッチブック 〜full color’s〜 第13話「ひとりぼっちの美術部」

解釈に悩む最終回。
誰もいない美術室、そこで美術部みんなの絵を描く空ちゃん。その姿はどこか超然としていて、まるで10年後に当時を思い出しているかのようなノスタルジーさすら感じさせます。そして、完成した絵をみて満足する空ちゃん。みんなの姿はなくても、絵の中=空の心の中では生きつづけているよ!みたいな。
・・・そこまでの展開と、夏海と葉月に声をかける空の姿がどうしても繋がらない。どうやら空はほとんど喋らないという設定があるらしく、本編でも自己紹介をできない描写がありました*1。そんな空が二人に声をかけるという、成長物語っぽいラストにしたのはどうしてなんだろう。
個人的な偏見だったんだけど、空はARIAの灯里と似ている部分を感じてました。人が好きと言うよりも、人を含めた生きとし生けるもの、それどころか無生物をも含めた世界全体が好きで、自分から求めるではなくただそこにあるものを受け入れるといったタイプだと思ってた。だから、余計にラストシーンの違和感が強かったのかもしれません。
そう思って見返していて気づいたのが、空の描く部員の絵の中に空自身がいたということ。「AQUAが好き」と言いながら、その「好き」はまるで彼岸からこちらを眺めているような、どこか他人事のような「好き」であった灯里に対して、空の絵には自分自身が存在している。それは空が彼女たちと共にいることを望んだ何よりの証。だからこそ、横断歩道の向こう側から眺めるだけではなく、その中に自分も入ろうと一歩を踏み出したのではないでしょうか。

*1:前回とか