ef - a tale of memories. 第03話「paradpox」

(※昨日のドラフトの補足的になってるかも)

揮発する記憶。

「朝の7時に起きると、夜の8時まではその日の記憶があります」
「でもその先は、1時間過ぎるごとに1時間ずつ消えていく」

淡々と自分の記憶障害を語る千尋と、非現実感を煽る演出、そして背景の音楽が作り出す、何とも言えない幻想的な空間が不思議と心を打ちます。一度こういうエロゲー的なおとぎ話を思い切りダークでナルシスティックな演出で見たいと思ってたのが、こういう形で実現されるとは・・・。
「また明日」という言葉は、13時間しか記憶が持たない千尋にとって、過去と現在の自分を繋ぐ唯一の約束。何気ない一言だけど、千尋がそれを守るにはどれだけの覚悟が必要だったのでしょうか。それほど残酷な障害を抱えながらも、淡々と自分のことを語っていく千尋が何かもう・・・。

「いいえ、わかりますよ」
「大切なことは思い返すんです。何回も何回も」

大切なことは思い返せば記憶に残りつづける。しかし逆に言うと、一度でも思い返す作業を怠ると今までの記憶は全て消えてしまう。蓮治と千尋の関係、その日常は想像もつかない千尋の意思によって保たれていた。そんな非日常的なキャラクターと、非日常的な設定と、非日常的な演出が作り出す日常風景。それは儚く壊れそうでいて、限りなく純度を高めた思いの結晶。極限までリアリティを排除し、日常感すら削ぎ落とした美しさは、そこに内在する思いがダイレクトに伝わるような不思議な感覚でした。

非日常の中の日常、日常の中の非日常。対になっているようでバラバラのようでもある2つのお話の、もう片方について。蓮治にくらべて広野くんは幸せな生活を送ってるよなあ。何なのこいつは。宮村みやこ、略してミヤミヤと真堂圭・・・じゃなくて新藤景の間でなにやら不穏な空気が流れそうな。「クリスマスに会った」とか言っちゃう広野はバカだろ。ナタで切られればいいよ。
もう一人の主人公っぽい京介は、話に絡んでくるのでしょうか。この「ef」という風景の観察者的存在になると思ってたのだけど、意外と掘り下げられる感じなのね。メタ的な存在である雨宮優子さんも気になるところ。