となグラ! 第13話「ベランダと紙ひこーき」

うーん、ラスト2話で、パラダイムを180°転換してくるとはすごいよなあ。

最初は、時間が止まっていた香月と時間が進んでしまった勇治を描きつつ、香月が変化することを通してモラトリアムから卒業するのがテーマだと思ってたんだけど、それを180°覆すラスト2話の展開。実は変わっていなかったのは勇治のほうで、変わってしまったのは香月の心。パラダイムを180°反転させることによって、香月の変化を「大人への成長」から「モラトリアムの肯定」へと持っていく手法には感動してしまいました。

うまく説明できないのがもどかしいんだけど、香月の変化(または成長)というテーマは一貫しているんだけど、そのコンテキストを逆転させることで全然違う結末に持っていくというのがすごすぎ。

これは2期が作れそうだよなあ・・・。香月は一段落ついたし、ニーナとまりえちゃんの話とか江里夏の話とか、脇役キャラをフィーチャーした2期っていうのも見てみたいな。

総感

普通に見てみれば普通のギャルアニメなんだけど、その奥に施されたさまざまな仕掛けや演出がすごい。これに気づくか気づかないかで相当楽しみ方が変わってくるんじゃないかと。ラストの大転換なんて、普通に見てりゃ単なる予定調和にしか見えないし。でも、俺も気づいてないことがまだまだあるんだろうなー。
そんなメタな楽しみ方もあったんだけど、何よりも香月やまりえ、ニーナといったキャラクターの描写が丁寧で、キャラクターをコンテンツとして消費しがちな萌えアニメにおいては貴重な存在だったと思います。丁寧な描写を支える作画も上質で、物語を支える重要な要素でした。もうちょっとエロが多くなるのかと思ったけど、OPと1話のパンチラで釣っておきながら、最終話にはパンチラなしっていうのがこのアニメを象徴しているような気がします。

多分1年経ったらすっかり記憶からなくなっているんだろうけど、となグラと過ごした3ヶ月はとても楽しかったです。ありがとうございました。

総感2

うーん、イマイチうまく説明し切れてない気がするので蛇足ながら。このアニメのすごいところは、登場人物の言動だけ見てるとベタなアニメなのに、そのコンテキストを巧みに変化させることによって、その言動のもつ意味を実にうまくミスリードさせてくれるんですよ。だから何も考えないで見れば普通にベタなアニメとして楽しめるけど、ちょっとでも背景を考えてしまうとたちまちミスリードに翻弄されてしまうのです。正直俺も最初は気づかなかったからなー。いやはや。