ストロベリー・パニック 第26話「はじまり」

とうとうストパニも最終回、エトワール決定の瞬間が。

最近はクライマックスを最終回一つ前に迎えて、最終回は緩やかに世界を閉じる構成が多いけど、そんなゆるい構成はストパニには似合いませんね。ここ数回は勢いがなくなってきたとはいえ、エトワール選に向けて積み上げられてきたそれぞれのキャラクターのドラマが結実する今回は、まさにクライマックスと呼ぶにふさわしい盛り上がり。

そしてそれらを全て飲み込む「エトワール」というシンボル。ハッピーエンドをむかえた(?)渚砂と静馬は言うまでもなく、昔の静馬と花織さんのように「エトワール」と言う絆を手にした光莉と天音、選ばれなかった玉青ちゃんと夜々ちゃん、敗れた要&桃実、傍観者としての六条さんと千華留さん。そして物語に花を添えた脇役の後輩ちゃんズ達にさえ、それぞれの心の中にエトワールを持っているのです。そんなそれぞれのドラマが一つになる今回は、さすがに感慨深いものがありました。

それにしても、公式あらすじのポエミーぶりは一体・・・

鮮烈な光を放ち、永遠に輝く、二つの星。選ばれし、その名は、エトワール。

いいなそれ。俺も使いたかった。年毎にその姿を変えるエトワール。しかしその輝きは永遠に失われることがない・・・とか何とか。

  • 相変わらず光莉は悪女だ。きっぱり振ってやれよー。
  • 千華留さんの出番が少なかったのがかなり残念。ダークホースとして活躍して欲しかったのですが・・・
  • 蕾ちゃん萌え。一応野川さくらツンデレ声優として実績あるんだけど、「ツンデレと言えば釘宮理恵」の印象が強すぎてイマイチ認知されてないご様子。「べ、別に夜々先輩を心配してるわけじゃないんだからね!」
  • 天音さん、それエトワールの演説違うから!もはや完全に結婚式と化してるな!
  • 「渚砂!愛してるの!」には吹いた。それエトワールと関係ないから!
  • 「仕方ないでしょ。あなたをさらう事だって、さっき思いついたんだから」にはちょっと萌えた。

追記 「エトワール」というシンボルからの脱却

「渚砂!愛してるの!」には思わず吹いてしまったのですが、考察納めということで「なんで渚砂と静馬の愛は、エトワールというかたちを取らなかったのか?」について、ちょっとメタに物語的意味の観点から考えてみようかと思います。

結論から言うとタイトルの通り、二人の愛が「エトワール」というシンボルから脱却するため。では、なぜシンボルからの脱却が必要なのか・・・っていうことを考えると、それは花織と渚砂のコントラストを象徴するものだったのかなあ、と思うのです。

「このミアトルに来るまで、わたしは、この世界のどこにもいなかった」という*1花織さんにとって、ミアトルが世界の全てであり、静馬との絆を証明するには、彼女の世界においての頂点である「エトワール」というシンボルがどうしても必要だった。それはアストラエアの丘から出ることのできない彼女にとっての限界。

「エトワール」は静馬にとって花織との絆であると同時に、自分をアストラエアの丘に縛りつける枷だった。それは「窮屈な籠の鳥」*2という台詞からも窺い知ることができますが、自分を縛るエトワールから逃れたいと思う気持ちと、花織を忘れられない気持ちの間で葛藤していたのでしょう。

そこに渚砂の存在が。渚砂の存在によって、ようやくエトワールという呪縛から解き放たれることができたのでしょうか。いや、そもそもエトワールの呪縛なんて物は存在しなかったのかもしれません。静馬が渚砂のことをただ強く思うだけで、エトワールなんてものは初めから必要としなかったのかもしれないですね。

いずれにしても、渚砂の存在によって二人はエトワールというシンボルからの脱却を果たし、花織さんの言うところの「広い世界」に飛び出すことができたのではないでしょうか。それを象徴するのが、玉青ちゃんがリボンを解くシーン。 スクールカラーだけでなく2色のリボンを用意したのは、ミアトルだけではなくの玉青ちゃんの想いも象徴してたのかなあ・・・。あなたを縛るものはありませんよ。だから自由になってください、渚砂ちゃん。そんな玉青ちゃんの気持ちが見えるようで、感動しつつもちょっと切ないシーンでした。

総感

最初は「はいはいマリみてマリみて」っていう、既存の百合物の要素を並べただけだろ・・・って思ってたけど、意外とキャラクターの描写が丁寧なのに惹かれて見続けてしまいました。
見続けるうちに、百合百合な物語の裏に隠された構成の巧みさ、シンボルや同期ポイントとしての小道具の使い方、たまに見せる作画の面白さやギャグの切れなど、実はすごいアニメなんじゃないか?って思えてしまったら後はもう夢中。毎回色々と考察するのが楽しくて、感想も長くなってしまいました。
26話っていうのもあるだろうけど、あれだけ多くのキャラクターを出しながらもそれぞれが魅力的に見えたのは、やっぱりエピソードの作り方とそれをまとめる全体の構成がいいからなんだろうなあ。

ってか、名前が面倒すぎだ!!打つのどれだけ面倒だと思ってるんだ・・・!

*1:19話

*2:12話