ストロベリー・パニック 第19話「リフレイン」

ついに明らかになる静馬と花織の過去・・・と思いきや、具体的なエピソードはほとんど明らかになっていないという面白い回。相変わらずの微妙で絶妙な暗喩表現に、感想書きの血が騒ぐなあ・・・。

静馬と花織の過去の話だったら、エピソードを重ねて段々と仲良くなっていく様子を描くのが普通だと思うんですよ。どうしても比較対照にしてしまうんだけど、白薔薇さまと栞のエピソードでは、同じように一目惚れに近いシチュエーションながらも「お御堂」や「マリア様」を象徴的に使うことで、「汚れた*1聖が神聖な栞に惹かれる」という構図に説得力を持たせていたわけだし。

でも今回は、静馬の一目ぼれ以外に二人の絆を深めるようなエピソードは全く存在せず、ただ「二人は仲良し」という様子が描かれているだけ。普段だったら拒絶反応を示すところですが、なぜかすんなり「あー仲良しなんだ」と受け入れられたんだよね。

で、それは何でかな?と思ってちょっと考えてみました。「アオカンでガチレズ!」みたいな感想は多分すでに多くの感想サイトで触れられていると思うので、特に今さら言うこともないかな。

拒否反応が出なかったのは・・・?

拒否反応が出なかったのは、考えてみれば簡単な話。前回のエピソードで「花織を忘れられない静馬」が強く印象付けられていたからでしょう。静馬が花織を好きなことはもう分かっているので、そのきっかけなんてそれこそ一目ぼれでも何でもいいわけです。もちろん前回いきなり持ってくるだけじゃダメで、今までのお話で「エトワール様には忘れられない人がいるんだ」ということを刷り込んでおく必要があるわけですが。

未来を過去の伏線にする時系列シャッフル。さりげなくて地味ながらも、見事な技を見せてくれます。

じゃあなんでそんなことを?

拒否反応が出ない訳は分かった。でも、じゃあなんでわざわざリスクを犯してまで二人が惹かれあうエピソードを描かなかったのか。千代ちゃんのエピソード*2では渚砂に惹かれるきっかけになった図書館でのエピソードがちゃんと描かれていたり、流星群*3を時の経過と思いを表す伏線*4に使っていたりしているのに、静馬と花織が惹かれあうエピソードだけがないなんて意図的としか思えません。

では何か他にエピソードがあったかな・・・と思い出してみれば、唯一あったのがエトワール任命式*5。つまり「静馬と花織のエピソード=エトワール任命式」を強く印象付けるため、あえて他のエピソードを省略して視聴者の気持ちを分散させないようにしたのではないでしょうか。

あとは今回の話が六条さん視点だった、というのもあるのかも。六条さんにとって花織は「私の知らない間に*6静馬を横取りした子」であり、今でもそのことに納得していないのではないでしょうか。つまり今回感じた「静馬は何で花織さんを好きになったのよ?」という疑問は、そのまま六条さんの疑問そのものだったわけです。ただ、「花織・・・さん」という呼び方、そしてラストで「花織」と敬称が取れたところから考えると、嫉妬と同時に純粋な好意*7のようなものも感じていたんじゃないかな、と思います。

「エトワール」という儀式

では、そうまでして強調したかった「エトワール」とは一体なんなのか、これもまた明らかな暗喩なのですが。

余命幾ばくもない花織。その残り少ない命を賭けて、静馬との絆を「かたち」として残すために彼女が選んだのは「エトワール」という儀式。「ミアトルに来るまで、私はこの世界のどこにもいなかった」という花織の台詞から分かるように、彼女にとって世界はミアトルであり、ミアトルこそが彼女の全てだった。そんな彼女にとって、3校の代表として2人が選ばれるエトワールは世界一の絆を表す象徴であり、世界一の祝福によって認められることの証だったのでしょう。

そんな花織さんのさりげない台詞からも想像できるのですが、さらにエトワールの任命式で六条さんを「新婦の父親」に仕立て上げることによって、エトワールが暗示する二人の絆を強調している演出が憎いですね。そこまでやるかーって思って見入ってしまいました。

「エトワール」という本来はただの係に過ぎないものを、ここまで「最上級の絆の象徴」として持ち上げることで、今後のエトワール戦に向けてテンションも高まってきます。「千華留さんがエトワールになればイイナ!」とか呑気なことを言ってる場合じゃなくなってきましたよ。それと同時に、渚砂にとっては今までどこか外の世界の出来事であったエトワールに対して、特別な意味を持たせたのもうまい構成だなあと思うのでした。

マリみてとの比較という観点では、「二人の絆を汚い目に晒したくはなかった」と言ってスールを拒んだ聖と、エトワールを「絆の証明」として選んだ静馬が対照的。この辺にもそれぞれのセカイ感が表れていて面白いです。

追記

感想を書くに当たって5話を見返してみたんだけど、こんなところで斎藤千和の泣きの演技が見られるとは。やっぱ萌えすぎる・・・。うりゅうりゅ。

*1:汚れた・・・?

*2:第5話「妹たち」

*3:第11話「流星群」と今回のお話

*4:というか、同期ポイントかな?

*5:青姦は無視の方向で!

*6:「知らない」のですからエピソードも語りようがないですね。青姦は無視の方向で!

*7:と親近感?