魔法少女リリカルなのはA's 第13話「スタンバイ・レディ」

最終回。

物語としての山場を最終話に持ってきた前作とは対照的に、山場を中盤に持っていき、後は世界を緩やかに閉じていく構成のA's。物語としての結末を前回までに終わらせて、今回の仕事は世界を閉じる作業。

自らを消滅させるリインフォースと、6年後の未来の姿。別れのシーンでちょっと泣いた後は少しずつクールダウンしていき、最後の「スタンバイ・レディ」では穏やかな充足感が俺を包んだのでありました。

で、シリーズ全体について。

シリーズ前半は日常に根ざした丁寧なドラマを展開してくれたのですが、後半になるにつれてしだいに駆け足な展開に。守護騎士たちとはやての交流を主題とするならば、リインフォースとの別れを最終地点に置いたストーリー構成にして欲しかったとは思います。5話-6話の「それは小さな願いなの」で感情移入しすぎた俺は、唐突に出てきたリインフォースにどうしても感情移入しきれませんでした。守護騎士の意識を受け継いでいる、ということは分かるので、そこまで拒否反応はありませんが・・・。

あとは、はやてかな。意図的なのか時間がなかったのか分かりませんが、はやてが守護騎士を思う気持ちというのが少し見にくかったかな、と。今までずっと一人で・・・という寂しさを抱えた子にしては、あの包容力はありえないでしょ。徹底して聖人君子として描かれたはやてでしたが、人間っぽい一面も少し見てみたかったです。

リインフォースが消えるシーンも、あっさりしすぎというか、守護騎士とはやての別れっていうテーマでもうひとつドラマができたような。

5話-6話までの丁寧さと熱さが続いていれば、文句なしに殿堂入りだった作品なのですが・・・。エピソード単位では殿堂入りレベルの話ができるのに、シリーズ構成レベルで見ると詰めが甘かったかな、といろんな意味でもったいないアニメだったと思います。

・・・と、不満点はいろいろとあるのですが、それでも守護騎士とはやての交流というテーマを貫いたこのアニメ、個人的には好きでした。今回の最終回でも、あくまではやてとリインフォースの問題として扱い、なのは&フェイトが押し付けがましい友情を発揮することもなく、最後まで傍観者の立場を守っていたし。なんだかんだいってもリインフォースとはやての別れのシーンではジーンと来てしまったし、エロゲーテキストの力を思い知らされました。