黄昏乙女×アムネジア 総感

特に後半になってからは毎回ボロボロ泣いてるのに、不思議と気負わず見れてしまう不思議な作品。

幽霊の女の子とイチャラブするよ!という以上の何物でもなく、幽霊モノに付き物の死んだ理由から見える見えないネタ、そして「成仏」へと至る過程を書いてるだけの、ありふれた普通のストーリー。なのにどうしてこんなに毎回泣いてしまったんだろう。

もちろんキャラクターの魅力や丁寧な描写、演出の力といった作品の完成度が高かったことは理由のひとつでしょう。定番ネタを丁寧にきっちりやれば*1ちゃんと感動できる、というのは持論でもありますし。

しかしそれ以上に、1クールと言う期間に貞一くんと夕子さんの関係を手を変え品を変え、視点を変えシチュエーションを変え、様々な切り口から見せてくれたことが感情移入させてくれた大きな理由だったような気がします。最近は「濃度」「純度」という言葉が気に入ってて結構使ってるのだけど、1クールアニメという短い時間でも、2人の関係に絞って描けば、これほど高い濃度、純度を出せるんですね。

貶すつもりじゃないんだけど、その点で言えば同スタッフが作った前作のC3と似た雰囲気でいながら180°対称的な作風だったのが面白いです。C3の時に思った「もっと時間を取ってキャラを描いてくれれば・・・」という思いを200%で叶えてくれたみたいな。濃度で言えばefにも近いものを感じたなあ。

キャラクターとしては、やっぱりヒロインの夕子さんでしょう。幽霊でいながら無邪気で天真爛漫、それでいて昔のお嬢様っぽい高貴さがあって。原由実の声もすごく合ってた。アイマスのアニメを見た時は、見せ場が少ないこともあってか、それほど貴音さんに魅力を感じることはなかったんだけど、夕子さんはもう初回の時点でビンビン来ましたねー。キャスティングしたスタッフはすごい。

夕子さんを支える貞一くんの代永翼も、嫌味のない柔らかさと意志の強さがあってよかったです。あまり気にしてなかったのだけど、実は相手役の男の声って大事なんだなーと最近のアニメを見てて思ったりします。

そう言えば目玉コンビ、出番が全然無かったね・・・。「目玉コンビ」とか言われてるくらいだから、もっと出番あんだろ、って思ってたのに残念。ま、この作品の濃度を高めるためならしゃーなしだな。

*1:もちろん本作品にオリジナリティが無いという意味ではなく