UN-GO 総感

この手のミステリーモノでは毎回枕詞にしていて申し訳ないのですが・・・。こういう難しい話はちゃんと分かってないです、すみません。

と言っておけば好き勝手なこと書いてもいいと思ってるのか?はい、思ってます。


さて。やはり目を引くのが作画の美しさ。高河ゆんキャラデザらしい線の細い耽美的な雰囲気を持ちながら、ダークさとポップさが不思議と同居する絵が面白い。全体的には血なまぐさい話で雰囲気も暗めなのですが、ドロドロのミステリーではなく、どこか洗練されたポップさを感じるんですよね。作画の質も丁寧で、EDの因果ちゃんとかすごかった・・・。

あとは独特の世界観。大きな戦争?を終えた近未来の東京が舞台で、「新情報拡散防止法」など謎の法律があったり今だにテロリストの脅威があったりと物騒な感じのようで。平和で退屈な日常に起こる事件というのも面白いですが、ちょっと軸をずらした平行世界の危うさもまた面白いですよね。物語に不思議な緊張感を与えていた気がします。そして、そんな世界観を生かした夜長姫3+1や風守のエピソードは特に好きでした。

キャラクターとしては・・・僕はやっぱり風守兄さま!!風守ちゃんかわいすぎだろ。そしてエロすぎ。俺も指チュパされたい!!「R.A.I.」という名前は傀儡の「儡」から来てるのかなあ、とかそんなことを思ったりもしました。調べる気ないけど。因果ちゃんは・・・うん、まあ・・・かわいいけど、ちょっと怖いよね(笑)

主人公の結城新十郎さん。名探偵の海勝麟六が裏に隠した真相を暴く!みたいに登場しながら、回を重ねるにつれて小物っぷりを晒していく所が意外で楽しかった。感情に負けて推理も結構外すし。最後は完全に麟六の手のひらで泳がされてたしね!

ただ新十郎も因果も、シリーズ中では深い部分が殆ど掘り下げられずに終わってしまったので、基本的に話の表面を触りつつ内面については何となく推測するしか無かったのがもどかしい。俺はキャラクターに感情移入しながらアニメを見るタイプなので、キャラクターの内面とエピソード(事件)が直結していないミステリーモノというのがすごく苦手なんですよね。その辺は劇場版の「因果論」を見ないと分からないのかなあ・・・。


声の話。新人声優好きとしては、まずは今季に活躍が目立った山本希望に注目したいですね。梨江さん、なかなか出番も多くてよかった。来年の活躍に期待ですよ。そして松本まりか。ちゃんと声を聞いたのは「シュガシュガルーン」以来だったので驚きました。1年も見ていたわりに、ショコラの声を全然覚えてないことにも驚いたよ・・・。

そして何より國府田マリ子。何だかんだでコンスタントにアニメに出てる方なので、出演されてる事自体に特に驚きはないのですが、久しぶりに台詞の多い役だった気がします。所々で「俺の知ってるマリ姉」を感じるのですが、言われなきゃ分からないほど自分の中で認識してる演技とズレがあって、やはり声優というのは日々変わっていくものだという当たり前のことを実感させられたりして。

主役の2人は・・・。正直に言うと、それほど心に来るものは無かったと言わざるを得ないかなあ。豊崎愛生の因果は、もちろん難しい役だというのは承知の上だけど、それでも1クールの中で因果というキャラクターを自分の中で持て余してる感じが最後まで拭えなかった印象でした。自分自身、因果という子がどんな子なのか分かってないので、単純に理解不足なだけかもしれないのですが・・・。

あとは結城新十郎さんの勝地涼。悪いけど完全に他キャストに食われてる感じで完全に空気化してたような。感情が高ぶるとヤンキー化するのも個人的には好きじゃなかったな。それはそれで、新十郎さんの小物っぷりを象徴していると言えなくもないのでしょうが。

そんな感じ。独特の雰囲気は好き嫌いの別れる作品だと思いますが、こういうエッジの効いたオリジナル作品が出てくるのは嬉しいです。楽しかったですよ。