うさぎドロップ 総感

基本的には、冴えない少年の元に美少女が降ってきた!というオチモノ系。要は冴えない中年の元に美幼女が降ってきた!という話でしょ。美幼女との奇妙な共同生活、新しい世界、そしてお互いの成長。惜しむらくは「月」へと帰る最後の試練が見れなかったことでしょうか。

さて。何といっても、りんちゃんの天使っぷりが全てと言ってよいくらいの魅力がありましたね。松浦愛弓もリアル10歳とは思えない演技ですごかったなあ・・・。こういう役にリアルな子供を使えるというのは贅沢な作品だよね。そんな天使みたいなりんをダイキチ目線で一緒に育てていくという、ものすごい願望充足ぶりでした。

あとは未亡人的な儚さとエロさを兼ね備えた二谷ゆかりさん、あるいはマニアックな向きには吉井正子さんなど、個性豊かなキャラクターがたくさん出てきましたね。

ところで。世間的には子育てオサレ漫画というイメージなのかもしれませんが、俺にとっては究極の願望充足アニメだと思ってて。冴えない中年の元に、かわいくて物分りが良くて自分に懐いてくれる幼女がやってきて、一緒に生活するんだよ?しかも、嫁はいない。すべてのことが二人に依存する世界の濃さですよ。わかりやすく言えば、嫁がトラブルのトリガーにも解決のきっかけにも成り得なくて、あらゆることは二人だけによって起こり、二人だけによって終わるのですよ。もう少し境界線に踏み込むならば、そこに擬似恋愛的な関係を持ち込むことすら可能なわけで。

私だけじゃないと信じたいのですが、「嫁はいらんが娘は欲しい」などと都合のいい事を考えてる人間にとっては、これ以上ない願望充足でしょう。さらにアレなのが、そういう歪んだ欲望をオサレアニメにラッピングされた徹底的に綺麗な世界として描かれてるってこと。俺はダイキチほど真面目でも真摯でもないし、子供が喜ぶことは何も出来ないし、りんに対して性的な感情を持たない自信がないよ。ダイキチがいい奴であればあるほど、自分の醜さを突き付けられているようで死にたくなる。この辺の感情は絶対視聴タイミングに依存してるよなー。俺だってダイキチくらいの年になってから見るんじゃなくて、高校生の時に見るとか、あるいはもっとオッサンになってから見るのなら違った気持ちになっただろうに。

萌え萌え美少女がたくさん出てきてオッパイ丸出し、みたいな願望充足ならまだ居直ることもできたんだけどね。「俺はこういう萌えアニメが大好きなんでブヒー」みたいに。しかし、このアニメみたいにリアルな、かつオサレな感じで見せられると逃げ場がない感じですね。。

まーそんなわけで。アニメとしてはすごく楽しくて心地よい作品ではあったのですが、そうあればあるほどリアルの俺は死にたくなる。そういう作品でした。