セキレイ〜Pure Engagement〜 総感

風花と焔の羽化、そして鈿女の死を中心にした構成。良く言えば3期への布石、悪く言えば退屈なシリーズでした。

もちろん所々に光るエピソードはあったし、それなりに楽しかったのだけど、あくまでも脇役は脇役でしかないわけで。どうしても「え、それで終わりなの?」とは思ってしまいますよ。

特にラストエピソードはひどい。「塔の頂上まで登って最後は崩れる」というプロット自体はベタながらも悪くはないと思うのです。ただ、塔を登ることにも、崩れることにも、全く意味やカタルシスが感じられなかったよね・・・。セキレイ達を塔に集合させて大混乱!かと思いきや、勝手に同士討ちとかして皆人たちには全く絡んでこないし。お前ら何しに来たんだよ・・・。

さすがに脇役ばかりで華がないと思ったのか、最後の最後で唐突に結と鴉羽の対決が始まるんだけど、だから何なのとしか。鴉羽さんの「意味など必要あるかね」という台詞がすべてを物語っていたような気がします。何の意味もなく建物を壊し、何の意味もなく戦う、何の意味もないクライマックス。

大体さー、千穂さんがあんなにアッサリと治っちゃうんだったら、鈿女は何のために死んだのよ。御中が治療方法を知ってるなら、氷峨泉を裏切ったってよかったんじゃないの?鈿女の死と引き換えに手に入れた千穂の命という構図にするにしても、あまりにも軽すぎないか?

・・・うーん、思い返してみると文句ばっかり。もうやめよう。


本シリーズの大きな特徴として、前シリーズよりもコメディ色が強くなってましたね。紅翼ちゃんが前シリーズよりずいぶんカワイイ子になちゃって俺はドキドキしたよ。月海がすっかりお笑いキャラになってしまったのはご愁傷さまでした。あと、なんか知らないけど松がすごくイイ女に思えてきたのは何だったんだろ。もっと松の出番を!

全体の構成は文句しか出てこないけど、個別のエピソードは結構好きな話が多かった気がします。6話の焔羽化シーンや、鈿女と千穂の別れを思いっきりウェットに、それでいて淡々と描いた10話は特に印象深いです。

細かいところでは、9話のDV野郎・谷川の話ですね。ただのイヤな奴、という描かれ方で終わる悪役としか最初は思っていなかったので、ああいう別れのシーンをわざわざ入れてきたのに驚きました。ほんの数秒のシーンでしたが、セキレイと葦牙の絆のかたちはそれぞれ、ということを改めて思い知らされました。こういう、色々な絆のかたちをもっと見てみたかったです。

そうそう、忘れちゃいけないのが作画。安定して高品質なのはよかったのですが、セブン・アークスの名物とも言えるベルカ式作画が影を潜めてしまったのは残念でした。時代に合わないのかな・・・?

まとめとしてはそんな感じかな。何はともあれ3期に期待です。