こばと。 第21話「…春の足音。」

沖浦、実はいい人疑惑。

「沖浦さんは、清花先生からよもぎ保育園を取り上げました」
「清花先生を悲しませました」
「そんな沖浦さんを、私はいい人とは思えないです」
「でも、いい人じゃなくても、清花先生には大切な人なら、このままじゃダメです!」

何度も言ってるけど、小鳩のピュアさってのは決して「マイナスの感情を持たない」ってことじゃない。憎しみも怒りも持たないような超然とした存在ではなく、悲しんだり怒ったり、時には悪意さえ持つリアルな女の子。そんな小鳩のピュアさがどこにあるかと言えば、自分の大切な人への思いの強さなんですよね。そして、大切な人を思う小鳩の気持ちが他人へと伝染していき、それが「癒し」になる。

沖浦を「いい人とは思えません」と言いながらも、清花先生の大切な人だから・・・と必死になる小鳩ちゃんの思いの強さが、沖浦の心を溶かしていくお話はすごくキレイだったなあ。さり気なく宮田に恩を売っておいて、藤本を動かすきっかけにしたのも丁寧ですね。

振られた藤本はちょっとかわいそうだったけど、収まるべきところに収まったわけだし。

「ただの箱じゃないなら何を守ろうとしてるの」

「いきがって『みんなのため』とかカッコつけてるけど」
「オレに言わせりゃ、お前・・・空回ってるぜ」

「オレ清花さんのためにがんばってます!」アピールで必死な藤本と、自分が悪役になってまでも清花さんを守ろうとした沖浦じゃ、器が違うわ・・・。藤本が空回ってるという指摘もその通りで、事実として藤本は何もできてなかったわけだからね。セイガクのバイトで返せる借金じゃねーっての。

そう考えると、小鳩の行動は一見独善的なようでいて、実は自分の思いの強さが他人の中にある「大切な人を思う気持ち」を引き出すようになっていたんだなあ・・・と今までのお話を振り返って改めて感じるのでした。そこには何の打算もない。だからこそ、その思いに打たれて小鳩に心を開いてしまうんだろうなあ。

追記

そういえば、小鳩ちゃんってご飯食べれないのね。言われてみれば食事をしているシーンとか、お腹が空いた的な台詞とか、なかったかも。いおりょぎさんはあんなに食いしん坊なんだから、メルヘンの国の住人は食事をしないってわけでもないんだろうけど。

追記2

沖浦さん。よもぎ保育園を取り上げたいだけなら、あんなチンピラみたいなことをしないで清花先生の良心につけ込んだ方がずっと上手く行ったはずなんだよね。なぜ敢えて自分を悪役にしようと思ったのかは明示的には描かれてませんが・・・。たぶん、清花先生を守るためとはいえ、「自分は悪役なんだ」と暗示を掛けていないと役割を保っていられなかったんだろうなあ。そう思うと切ない男よ。