君に届け 第14話「くるみ」

飲みながら見るくるみのお当番回が、こんなに幸せだとは・・・。

と言うわけで、くるみ編(?)・クライマックス。

「やっぱり・・・ズルイよ、爽子ちゃん」

「わたしのこと、ばらさなきゃいけないんでしょ」
「それで、また風早に同情してもらえばいい」

くるみの爽子への思いは、この「ずるい」の一言に集約される。

確かに爽子は何もしてない。じゃあ、何もしてない爽子と努力を重ねたくるみは何が違うのか?と言われれば、爽子は常に本音をオープンにしていたということなのかもしれません。自分が心を開かなければ、相手も心を開いたりしない。どんなに思っても、それを伝えなければ思ってないのと同じなんだよ。「どうしたら相手に好きになってもらえるか」じゃなくて、タイトル通り「どうしたら自分の思いを届けられるか」ということが大切なのでしょう。

・・・うわ、書いてて自分の文章で心が痛くなってきた(笑)。リアルの俺は、どっちかと言うとくるみと同じく策を弄するタイプなので、くるみに感情移入せずにはいられない・・・。一見人当たりがいいように見えて、誰にも心を開かないくるみ。台詞の端々を注意して聞いていれば、所々にくるみの本音が見えるのですが・・・大人びて見える矢野ちんですら見抜けないとすれば、おそらくその思いが他の人に理解されることはないでしょう。

だとすれば、くるみが唯一本音をぶつけた相手は爽子だけ。くるみが本当の意味で友達になれる子がいるとすれば、爽子しかいない。最も忌むべき相手が、最も自分を分かってくれる理解者になる。そんな矛盾を抱えながら、精一杯あがこうとしたくるみの思いが分かるか?誰よりも好きな人が、自分以外の誰かを好きだと言うことが分かったとき、それでも前に進むことができるか?俺だったら絶対無理だ。

方向性はともかく、くるみは必死に前に進もうとしたんだ。その思いだけは分かって欲しい。

「だって、あたしの方が、爽子ちゃんよりずっと、ずっと・・・」
「ずっと、風早のこと好きだもん」

「知ってるよ。・・・風早がわたしのこと好きじゃないのくらい、知ってる」
「ずっと・・・ずっと見てきたんだから」

くるみの台詞は本当に心に響くものが多い。できれば全文引用したい。思いが強いほど叶うなんてウソだよ。どれほど思っても、努力を重ねても、報われない思いだってある。だからこそ、恋する思いはこんなにも美しい。

何度も書いてるけど、平野綾の演技が本当にすばらしい。他の人がくるみを演じてたすれば、もしそれがすごく好きな役者さんだったとしても、ここまでくるみに感情移入はできなかったと思う。ぶりっ子の外面と黒い内面のギャップというだけでなく、恋する女の子というくるみの本質をしっかり掴んでくれてるのが嬉しい。決して上手いってわけじゃないんだよね。ただ「合ってる」としか言いようがない。

それにしても・・・。今まで散々ネガティブな言及をしていたくせに、いい役があった途端にベタ褒めになるのは、我ながらチョロイと言わざるを得ない(笑)