宙のまにまに 第05話「言葉の星」

そのままでは意味を成さない文字が言葉によって意味を与えられるように、星の並びに言葉を与えることで物語が生まれてくる。

前回のラストでフーミンこと琴塚文江さんに雑魚寝を見られた美星たちは、夜の活動を停止されてしまう。活動復活の条件は、天文部の活動を琴塚さんに認めさせることで・・・。

ということで今回。個人的にフーミンにはあまり興味がないのだけど、この子がいるとお話にメリハリが出るから作品的には大事な子だよね。厳しい第三者視点を置くことで、天文部が単に居心地いいだけのぬるま湯空間ではいられなくなってる。

そしてこの作品の本当にすごいところは、悪人を作らないところ。文江を悪のツンデレ生徒会長(笑)にするのはすごく簡単で、本編の主題も「本を捨てて星を見よう」というお手軽なところに持っていっても普通なら全然OKのはず。

何かを肯定するために他の何かを否定するのはすごく簡単。でも、この作品はそれをしない。文江はただ厳しいだけじゃないし、天文部を助けてるのも朔が好きというだけじゃない。小学生からずっと一緒だった美星に大しても思うところがあるはずで、そう思わせるようにちゃんと掘り下げてくれてる。この辺りは3話でも触れられてましたが、今回はさらに一歩進んだ話になっていたように思います。

本についてもそう。琴塚さん=文芸部は、本の虫だった昔の自分の象徴。今は本を読むより星を見ることが増えてきたけど、それは本を否定することとイコールではない。なぜなら、本も星も「言葉」で繋がる物語を持っているのだから。

美星メインの回はどうしても美星にメロメロになってしまうのだけど、こうして冷静に見てみると、すごく丁寧に作られた作品ということがよくわかる。小夜が美星のよき理解者だったり、姫ちゃんが天文部として成長していたりと、出番が少ないながらも脇役キャラが存在感をちゃんと発揮してるのもいいよね。