アキカン! 第09話「ココロ、つながる瞬カン」

若干めんどくさい感じになってきたメロンとカケルが、ケンカして仲直り。一途なヒロインは時として想いの重さが煩わしく思えることがあるのですが、その辺を二人の距離感でうまくバランスを取ってる印象でした。初めてバイトしたメロンがドタバタ・・・みたいにベタなギャグへ持っていかないのも、この作品らしいというか。ほんと真面目なんだかふざけてんだか分からないアニメだよね。

この前買ってもらった携帯電話を早速使いすぎて、バイトをするハメになるメロン。サラッと流しているようで、実はこの冒頭が今回の話を決定付ける最重要シーンなのです。

携帯電話は初めてカケルにもらったプレゼントであると同時に、二人を繋ぐ絆の象徴。メロンが電話をかける相手なんて一人しかいないでしょ?そして、なぜ携帯電話を使いすぎる事態になったのかを考えれば、冒頭でのメロンの思いが分かるはず。もちろん新しいオモチャが楽しいって気持ちはあると思うけど、それ以上に、携帯電話が必要なほど二人の距離が離れてしまっているということ。そして、メロンから電話をかけているということは、離れつつある二人の距離に対して必死でSOSを発していたということ。それなのに、カケルはなじみやエールのことばっかり。バイトにも付いてきてくれないし、自分が働いてる横で友達と楽しそうにお喋りしてるし。携帯の通話料金を「自分で払え」と言われたことも、メロンには拒絶と感じられたのでしょうね。

「ばいとおわったよ」
「やきゅうたのしそうだよ」
「さびしいよ」

それはあまりにも幼く、飾り気のない、メロンの小さな想いの欠片。そんな小さな日常の幸せを共有することさえ、今の二人はできなかった。

でも、カケルの気持ちも分かるんだよな。決してメロンが疎くてバイトに出したわけじゃない。あんなんだけど「尊敬する大人」にメロンを預けていたり、様子を見に行ったり、ちゃんと気にかけてる。何より、メロンをバイトに出したのは、「こっちの世界」のことをもっとよく知ってもらいたかったんだと思う。オーナーのみに依存して生きるアキカンの不安定さに対して、カケルなりに思うところがあったんじゃないかな。だから、カケルのしたことは決して間違ってはいないし、誰が悪いって話でもない。ほんの少し、二人の距離感にズレがあっただけなんだよね。

「オレにして欲しいこと、ないか」
「・・・ないわよ」
「本当か?」
「カケルが、そばにいてくれれば・・・それでいい」

いつもなら「そばにいるだけでいい、なんてのはウソだ」などと読みを入れるところですが、多分これはメロンの本心。少なくとも今は。今はただ、カケルと一緒にいればいい。「月が綺麗」とか、そんな何気ない簡単な幸せを共有していければ、それでいいんだと思う。

前回の感想で色々書いちゃったけど、俺もカケルと同じように急ぎすぎたみたいだ。考えてみれば、ついこないだガーリッシュしたばっかりだもんな。1クールで終わらないことを祈りつつ(笑)、ゆっくりメロンを見守っていかねば。