true tears 総感

もし今日という日が来なければ、このアニメを見ずして2008年のアニメを語る愚を犯すところだった。まずはこのアニメに巡り合わせてくれた運命に感謝したいです。

さて

ちょっと頭冷やそうか・・・ということで一息入れて、もう少し客観的にシリーズ全体を俯瞰してみようかと思います。

まずはアニメの顔となる、OPとED。独特の浮遊感が、本編の「空を飛ぶ」感覚とリンクしたeufoniusの「リフレクティア」、そしてチビキャラがかわいいEDの「セカイノナミダ」。導入としてのOP、余韻を味わうEDとしての役割も十分果たしてくれて、こういうところまで丁寧に作られた作品だったのが印象深いです。
本編としては、毎回密度の高いシナリオを混乱させることなく纏め上げたシリーズ構成、回が進むごとに新しい魅力を見せてくれるキャラクター達、そして富山を舞台にした世界設定のリアリティ。三角関係、不思議ちゃん、インセスト、町の世界観。色々な要素をたくさん詰め込んでいるにもかかわらず、不思議と混乱せず爽快な気持ちになったのは、これらの要素をさりげなく、かつポイントを押さえて見せてくれた演出の巧みさなのでしょうね。西村純二は「逮捕しちゃうぞ」のイメージしかなくて、こんな緻密なコンテが切れるとは思ってなかったよ。
各話の構成だけでなく、特に9話で顕著に見えてたんだけど、見せるところと切るところが実に明確でブレがない。この回で見せたいのは事故の直接的な結果である安否ではなく、その後に見える比呂美と眞一郎の母のぶつかり合いなんだよね。前回のラストで事故を見せて「二人の無事は!?」みたいに引けばキャッチーなんだけど、それだとアバンで無事な二人を見た時点で安心しちゃうから。そこで安心されたら困るよね。
作画的には、P.A.WORKSの初制作ということで期待が高まっていた(らしい)のですが、やはり全話をやるには体力不足だったのか、韓国へグロス出ししている回もちらほら。それでも、大きな作画の崩れはなく、派手さはないけど全体的にすごく丁寧な仕上がりになっていたと思います。日本海の冬の海の冷たさは、やっぱり地元だからこそ描けるのかも。
キャラクターは・・・うーん、語りだすと冷静にはなれないので、本編の感想で代えさせていただきたく。乃絵っちかわいいよ。
全体的に派手さはないけれど、本当に丁寧に作られた作品。丁寧に作り上げた構成を、丁寧に組み上げた世界観で、丁寧に描かれたキャラクターが演じる。そういった一つ一つの仕事がキャラクターに命を吹き込み、「心が震える」名作を生み出したのだと思います。